じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

川端康成「笑わぬ男」

2023-05-19 19:42:13 | Weblog

★ 雨降りなので今日は1日中ひきこもり。

★ 川端康成の「掌の小説」(新潮文庫)から「笑わぬ男」を読んだ。小説というかエッセイのような作品だった。

★ 川端は原作の小説が映画化されるとあって京都に来ていた。映画製作の現場にも参加していた。この映画、「狂った一頁」(1926年)といい、精神病院が舞台。今から見ればかなり劣悪な環境にある病院の様子、そこの収容されている患者の様子が前衛的な映像で描かれている。サイレント映画。今はYouTubeで観ることができる。

★ 「笑わぬ男」では撮影の裏話が語られている。特に終盤、患者が微笑する面をかぶるところ。穏やかな能面をつけ、病んだ彼らも、ひと時の平穏を得たような感じだ。(私たちがそう感じているだけなのだが)

★ 大学入試のとき、和辻哲郎さんの「ペルソナと面」を読んだことを思いだした。人は社会生活を営むとき、大なり小なり仮面をかぶって生きているのかも知れない。

★ 「青磁色が色濃くなって来て空は美しい瀬戸物の肌のようだった。私は寝床の中から鴨川の水が朝の色に染まっていくのを眺めていた」。この辺りの表現はさすがに美しい。

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