じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

堀内孜「公教育経営概説」

2023-05-29 16:02:39 | Weblog

★ 京都教育大学で指導して頂いた堀内孜先生が亡くなられてまもなく2年になる。先生との思い出は尽きない。先生との出会いがなければ今の私はなかったであろう。

★ それは、同じ研究室で学んだ教え子に共通する思いではなかろうか。この度、その教え子たちで論文集を刊行することになったという。私も寄稿させていただくことになった。

★ とはいえ、果たして何を書こうかと思案中。とりあえず今月中にタイトル案を提出しなければいけない。

★ 私が先生の論文でまず感銘を受けたのは「近代公教育分析に関する方法論的諸問題」(京都教育大学紀要No.57 1980年)だ。マルクスの「資本論」並みに難解な論文で、当時学生の私など全く理解できなかった。およそ40年近い時を経て、先生が追究されていたのは、「解釈の教育学」ではなくて「変革の教育学」なのだということがぼんやりわかった。

★ そう思うようになると、マルクスの「フォイエルバッハに関するテーゼ」11、「哲学者たちは世界をさまざまに解釈したにすぎない。大切なことはしかしそれを変えることである」(エンゲルス「フォイエルバッハ論」松村一人訳 岩波文庫所収)という言葉が明確に伝わってくる。

★ 1985年刊行の「学校経営の機能と構造」(明治図書)は画期的な著書だ。本書は国家と教育の緊張関係と言うマクロな視点に立って、個々の学校における教育過程の組織化、管理化を問うこと、「つまり、国民社会における公教育の経営、組織化にとって、個々の学校経営管理は、いかなる機能と構造をもっているかについての分析を課題としている」という。

★ 教育行財政学と学校経営が一体化し、「公教育経営学」へと発展していく。2000年には「地方分権と教育委員会」シリーズ全3巻を刊行され、1996年「公教育経営学」、2002年「現代公教育経営学」、2011年「公教育経営の展開」そして2014年「公教育経営概説」を刊行された。それらで教え子たちに発表の場を与えていただき、また大学のテキストとして活用された。

★ 私も「学校教育病理」について、あるいは「学校と教育産業」について書かせていただいた。研究室の紀要「現代学校研究論集」第12巻に書かせていただいた「昭和初期における学校経営改善と年次計画」は自作ながら今読んでも面白い。

★ さて、ここまで振り返り、果たして私は何を書くべきかを思案。先生から学んだことを、私塾経営にどう生かしているのかを書こうと思えてきた。

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