じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

芥川龍之介「歯車」

2020-08-01 15:43:38 | Weblog
★ NHK「100分de名著」、吉本隆明「共同幻想論」の解説の中で、芥川龍之介の「歯車」が紹介されていたので読んだ。

★ 芥川龍之介「歯車」(岩波文庫)。昭和32年初版の岩波文庫版は字が小さくて読みづらかった。

★ 「歯車」は芥川が死の直前に書いた私小説だという。主人公は結婚披露宴に列席した帰り、たまたま同じ自動車に乗り合わせた理髪店の男からレエン・コオトを着た幽霊の話を聞く。その後、彼はあちこちでレエン・コオトの男を見かけるようになる。

★ 眠れず、仕事に追われ、彼はあらゆることが連想の末、「死」に帰結してしまう。すでに睡眠薬中毒になっていた主人公、死神のターゲットになっていたのかも知れない。生き続ける苦痛を語って物語は終わる。

★ 主人公は、時々、視界に歯車が現れ、そのあと頭痛に襲われるという。

★ 私も高校1年生から数年間、この主人公のような症状に悩まされた。近くの眼科医へ行けば、精密検査が必要だと言って「日赤」を紹介され、受診をするが原因は不明。近くの内科医に行けば、今度は府立医大を紹介され、受診の結果、「ただの片頭痛」だと言われた。頭痛の前に現れるキラキラした暗点。今では「閃輝暗点」だとわかるが、当時は意味が解らず、その後に襲ってくる頭痛と吐き気に怯えて、不安な日々を送った記憶がある。その症状は、大学1回生の冬に、きっぱりとなくなってしまったから、不思議だ。

★ 「歯車」の主人公が片頭痛だったのか、それとも薬物中毒や精神の病を患っていたのかはわからない。ただ「ぼんやりした不安」以上に彼の精神には多くの重圧があったのかも知れないと思った。
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