届いた無線機を早速動作確認。
お聞きした不具合内容は
・バンド切替不能
・受信感度が極めて悪い
・パワーは少し出ている
届いて通電して見ると、
・バンド切替は出来る。アマチュアバンドのどこへも全て切替可能。
GENEスイッチをONにして、1MHz UP、DOWNも可能。
フロントパネルの各ボタン動作OK
・受信感度良好
・パワーは外付けのパワー計で100W以上出ている
問題ありません。雷で破壊されたのでは無さそうな感じ。
運送途中の振動で、不具合が解消されて正常動作をしているように
見えます。こうなると不具合箇所を見つけるのに難儀します。
素直に動作してくれない方が勝負が早いのです。
シッポをつかむために、色々やってみますが正体を表しません。
困った....
連続通電で故障するのを待つ個とにします。
ただ待つだけでは芸が無いので、かなり手垢がついた
ツマミ類を清掃する事にしました。
普段はツマミ類が汚いと、なるべく触らないように修理して、
修理後そのまま返却ですが、暇なので特別に。
メーカーにでも、個人にもですが、修理に出す時は、埃を落としたり
手垢を落としたりすると、修理する人の気分が違うと思います。
あまり汚いと、まあこの辺で良いかとなりますが、綺麗にしてあると
ここもやっておいてあげようかと言う気になります。
つまみを全部外すなんて事出来ないと思われるでしょうが、
そんな時は、ティッシュにパソコンクリーナーを吹きかけて、ツマミを外さずに
丁寧に拭いて行きます。あまりひどい汚れは、人差し指に
泡になったパソコンクリーナーを載せて、つまみの手垢部分に付けて
1分ほど経ってティッシュで吹くと綺麗になります。
バンド切替不能と言う件があったので、フロントパネルも外して
確認。そして、表示ユニットとフロントパネルのアクリル板内側の清掃と
帯電防止処理。
この状態で、連続通電に入ります。
SGから信号を入れて、14MHzで試験していると、いきなり信号が
聞こえなくなりました。よし、来たぞ!
送信は?
生きていました、受信だけNG。
調べて見ると、RFユニットのトランジスタが壊れていましたので交換。
送信も受信も出来なかったはずなのにおかしいなあ....
続けて連続通電をしますが、送受信は正常です。
いつまで待っていても仕方ないので、各部レベル確認をして行きます。
PLLユニットを確認していると、レベルの低い部分があるので
コイルを回すと、どちらに回してもコアが沈んで行きます。
おや?
この無線機は中古で入手されたようですので、どなたが
調整されたのか分かりませんが、かなり何度も回されたようで
ボビンが樹脂ですので何度も回すとねじ山が無くなってしまいます。
交換すれば良いのですが、代わりのものがありませんので
ボビンとコアの間に咬ませ物をして対応しました。
これで調整してしっかり規定値に収める事ができました。
また、半田の怪しい部分が多数あったので、半田修正しておきました。
他にも色々なコイルに測定器無しで触られた痕跡があり、結構ズレておりましたので
調整しておきました。
フロントパネルのパワーボリュームを最小にしても40W、最大で100wを軽くオーバー
これも 「出せ出せ!」 と内部のボリュームを最大にしてありました。
ファイナルが飛ぶ恐れがありますので、サービスマニュアル通り、最小で10W
最大で100Wになるように調整しました。
100Wが130Wになったからと言ってもメリットはありません。ファイナルユニットが
悲鳴を上げるのと、電波の質が悪くなるだけです。
リニア領域で使いましょう!
Sメーターも勢い良く振れるようにして有りましたが、
これも規定値に調整。
最後に、メーター照明の電球が切れていましたので、LED化しておきました。
基準周波数はもちろん、その他各部調整をやり、修理・調整作業終了です。
1週間ほど通電試験をして、問題が無ければ返却です。