JR4GPAの「つぶやき」

JR4GPA の「つぶやき」です。修理依頼は、2013年3月3日のBLOGをご覧ください。

修理依頼について

修理依頼は、2013年3月3日のBLOGの内容をご覧になり、メールにてご連絡ください。

TS-850D 修理

2022-06-18 | Weblog
TS-850D の修理です。

何か月も修理して欲しいと言うご依頼は無かったのですが、
先日、久しぶりにご依頼のあったFT-900に続いて、今月2台目のご依頼です。
FT-900を返却したあとは、修理デスクが空きましたので自分の無線機をバラバラにして
メンテナンスしていたのですが、再び片付けてすぐに修理が出来るよう準備をしました。

TS-850S の100W機と言うのは多く販売された機種ですが、TS-850Dは25W機と言う
昔、3アマの最大パワーが25Wになった時に販売されていたモデルで、今となっては中途半端な出力です。
あまり中古市場でも見かけない機種ですね。
と、言ってもファイナルは100W機と同じ構成で、出力を絞るようにハードで調整範囲を制限しているだけ
それを100Wや50W仕様に変更すればパワーアップが可能です。
25Wとして使うには余裕の塊で、50Wにしても余裕のある運用が出来ます。
フロントパネルの型式の印刷部分のTS-850Dと言うのがレアですね。

ご相談内容は、保管されていた無線機に電源を投入して見たら、不具合が発見されたと言う物。
ご依頼内容は
・受信音が極端に小さく、大きくならないので修理して欲しい (受信自体は出来ている模様)
・キャリアユニットの電解コンデンサに液漏れ跡が多数あるので対処してほしい
・出力を50Wにパワーアップしてほしい
と、言う事です。

この機種は、基板間をFFC(フォレキシブルフラットケーブル)で接続されており
何度も抜き差しすると、ケーブルの補強版が剝がれてしまうか、基板側のコネクタが
破損する可能性があるので、TS-940などの様に何度も基板を外してなんて
作業は遠慮したい所です。
ご依頼内容が部品交換だけで、そこまで何度も基板をひっくり返して
信号を追いかけるような作業ではなさそうでしたので、お受けしました。

電源を入れて動作確認したい所ですが、電解コンデンサの液漏れは目視で確認できるレベルですので
通電はまずこれの対処をしてからとしましょう。
受信音が小さいとの事ですので、お決まりに電解コンデンサを外します。


成大に漏れてますね....



基板を洗浄して電解液を流します。テスターで測定すると、パターン切れはしていませんでしたが
念のため、電線でジャンパーしておきました。


せっかく基板を取り出したので、半田クラックが起きやすい外部スピーカー端子の
再半田もしておきました。



基板を外す時、元に戻す作業でコネコネクタってどこ挿すんだっけ?ってなったらいけませんから
しっかり確認をするのですが、この機種は、同軸ケーブルのコネクタに色分けしてリングが挿入してあるので
赤がシルク印刷のRED、緑がGRNよしよし、次は黒 えーーーーーーーーーーーーっ


基板のシルク印刷がBLACKではなくBRACK、スペル間違えちゃったってヤツですね。



BRACKを物知りのGooleさんで調べると、どこかの辞書がヒットして 乾燥フルーツ入りケーキ だそうで。
修理の間に楽しませてくれるネタでした!


次はキャリアユニットの電解コンデンサの交換です。


中央の電解コンデンサの右に液だまりが見えます。ヤバイヤバイ



11個の電解コンデンサを交換 & 基板洗浄をします(交換前の画像)



基板を元に戻して電源を投入。
スピーカーからしっかりと音が出ていますので、SGから信号を入れて
DDSの動作を確認します。感度、復調音に問題はありません。
次に、パワー計とダミーロードを繋いでモニター受信機で送信音の確認です。
パワーは各バンド25W前後出ていて問題ありません。
送信音も良さそうですので、DDSも問題なさそうです。

長くなったので、最後のご依頼部分の50Wにパワーアップと調整、返却までは
次回のBLOGで。

自分の無線機は、壊したら部品取りなんて気楽に出来ますが、ご依頼品は
緊張しますね。

あー疲れた。









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IC-R71 修理

2022-06-12 | Weblog
IC-R71 の修理です。

「モードによって受信できない」と言う動作不良の受信機を購入。
あれだけ片付けろ命令が出ているのに、買ってどうする。
いやー、壊れていますと言われると、どこが、どこが、知りたいよなーって
ついつい購入してしまう悪い癖が出ます。
別冊CQ ham radio QEX Japan No.43nに書かれている
世界のアマチュア無線家事情 ブラジル・ハム仲間のゴミ屋敷
には勝てませんが!(CQ出版社の回し者ではありませんが、見たらびっくり)

電源を入れて動作確認をすると、AMは受信出来るようですが、CW,LSB,SSBでは
メーターは振れて、何か音は出ていますが、全モードAMで受信しているような音です。
BFOがうまく動作していないようで、回路図を見ながら測定器で追いかけます。



程なく不良部品を見つけましたので交換。
うーん、あんまりおもしろくない修理でしたね.....
受信機はいつもの無線機と比べて、ボリュームが半分ですので
割と簡単に直せます。


メーターのバックライトが消えています。



当時は電球を点灯してバックライトとしておりましたので寿命が短かったですね。
同じ電球に交換すると、長時間受信しているとまた切れますのでLED化します。
しかし、問題はこの機種にはDIMMERスイッチがあります。
DIMMMER ONで周波数などの表示部が暗くなり、メーターのバックライトも
一緒に暗くなります。
電球と違って、LEDにかかる電圧を少々下げても暗くはなりません。
データシートの電流ー照度の曲線を見ればわかると思います。
そこで、DIM回路をチョイと変更して、DIMでLEDも暗くなるような回路に
変更しました。
写真では分かりにくいのですが


DIMMMER OFF



DIMMMER ON



最後にサービスマニュアルに従って、各部調整。
文章にすると、たった一行ですが、測定器を多数ONにして受信機と共に
安定するよう温まって安定するまで通電して、それから調整開始。


調整途中にキャリアとノッチのトリマが接触不良で安定していないので新品に交換。



サービスマニュアルの最後ページがの終わるまでに結構な時間がかかりました。
海外の短波放送をWIDEに切り替えて聞くと、良い音ですねぇ。
小学生の頃、こんな受信機を持っていたら、どんなに楽しかったでしょう。
当時はラジカセの3バンドド受信機(MW,FM,SW)で周波数なんて
6(MHz)とか9とかしか書いていないので、例えばBCLの本に6.285MHz
なんて書いてあったら、6よりちょっと上で、この辺かな?これか?
?いや、日本語じゃないから違う、もうちょい上か?なんてやっていましたが
IC-R71は直読ですからね。
時代は進歩したもんだ!

そんな事は置いておいて、SSBやCWも受信して見ますが問題はありません。
いっちょ上がり。



楽しく遊べました。
次だーーーーー!








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FT-900 修理

2022-06-04 | Weblog
FT-900 の修理です。

修理の規定をお読みいただくと、かなり厳しい条件ですので、ご依頼は
1年間で1桁台です。自分の無線機のメンテナンスが忙しいので丁度良い数字です。

依頼があると、やはり壊れた無線機が直るのだろうか、こんなヤツに頼んで
良かったのだろうかと、心配されていると思いますので、出来る限り早く
返却できるように努力しています。重傷でない限り10日~2週間で返却しています。
今回は修理デスクの上には、重量のある電源が分解されていたのですが、片付けて
無線機の到着を待ちました。
その電源は、後日BLOGに登場します。

FT-900の不具合は、
 「信号強度は同じなのに、受信音が勝手に大きくなったり小さくなったりする。
 それに合わせてSメーターもほとんど振れなくなったり、元の状態に戻ったりする。」
と、言う事で修理のご依頼がありました。
メーカーに修理依頼されようとして、問い合わせされたご様子ですが、取扱できませんと
断られたようで、検索して私のHPにたどり着かれたようです。


部品が壊れているならば、感度が悪くなったままのはずですが、感度が元に戻るのであれば
コネクタ部分の接触不良か、基板の半田クラックの線が濃厚です
不具合の起こっていると言われた7MHz CWにセットしてSGから信号を入れて
どの部分が不具合を起こしているかを探します。


分解してシールド板を外して、M型コネクタの接触不良が無いか確認しましたが
異常なしです。





送信については確認されていないとの事ですが、無駄に送信をすると何があるか
分かりませんので、不具合の起こる受信部で感度低下を探ります。
次に、LPFユニットやPAユニットのコネクタやハンダクラックを探しますが、それらしい所も見つかりませんし
感度低下も起こりません。





電源を入れてすぐ起こる事もあるし、しばらく経ってから起こる事もあるとの
情報も頂いたので、1日頑張れば必ず1度は起こると思い探します。



LOCALユニットも。





さらにRFユニットも。





つきっきりで1日頑張りましたが、感度低下は1度も起こりません。

1日に1回も不具合が発生しないのであれば、無線機の不具合ではないのではないかと言う疑いが。
ケーブル、間に入っているパワー計、アンテナやコネクタの半田付け部分が怪しいのではないかと思い
確認をお願いしました。

さらに
・このまま返却する ¥0
・修理不可であれば¥0で返却ですが、不具合が無い物を何日も動作確認して
 不具合なしで¥0と言うわけには行きませんので、1日あたり1,000円で通電確認継続
 その場合、何日の確認を希望されるか。 
 (最低賃金が1時間¥1,000近いのに、1日¥1,000なんてね...)
・各部調整をしながら1週間程度8時間/1日の連続通電試験をする
 1日¥1,000の試験料は不要で、定額料金!
のいずれかの選択を伺いました。

「各部調整をしながら1週間程度8時間/1日の連続通電試験をする」でお願いしますと
ご連絡を頂きました。
そのまま1週間の通電確認をしましたが不具合は1度も出ませんでしたので、各部調整をしました。
受信部、送信部に異常が無いのを確認し、らに3日動作確認をしましたが不具合が出ませんので返却
する事としました。

返却してすぐに、アンテナのコイルに接触不良があって、メーカーに送って修理してもらうとの連絡を頂きました。
通りでこちらで振動を与えたり、引っ張ったり、押したり考えられるあらゆる試験をしても
不具合が出ないはずです。

さらに数日後、アンテナのメーカーから断線していた旨連絡があったとご連絡いただきました。
通りでこちらで不具合が出ないはずだ。

不具合箇所の特定が出来て良かった、良かった!

さて、片付けた電源をまた修理デスクに戻して作業再開です。








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