TS-50S の出力が安定しないとの事で、修理依頼がありました。
その他の不具合としてバックライトが点灯しないのと、メモリー保持用バッテリーを
ソケット式にしてほしいとの事で、作業開始。
ざっと試験してみると、
・21MHzで100W設定 CWで送信すると、出力が激しく変動
他の周波数でも同じく変動を確認
・1.9MHz,3.5MHzは受信出来ず
・7MHZ~29MHzは感度良し
・バックライト切れ
・メインダイヤルにガタあり、また回転時カチカチ音
とりあえず、出力が変動するのを追いかけないと無線機としては使えないので
送信出力の変動から調査。
まず、FINALユニットを切り離し、TX-RXユニットの出力を見ると、非常に安定していて問題なし。
じゃあFINALユニットしかないとTX-RXユニットを元に戻し、TX-RXユニットの出力と
FINALユニットの両方を見ながら送信すると、両方の出力が激しく変化。
FINALユニットにSGから信号を入れて確認すると、出力は安定している。
じゃあALCが悪さしているしかないじゃないかと、検出回路を外してみても
状況は変わらず。
FILTERユニットも外して、FINALユニットの出力をダミーロードの直接繋ぐも変化なし。
さっぱり訳が分かりません。
整理すると
・TX-RXユニットの出力は安定
・FINALユニット単体では問題なし
・TX-RXユニットとPAを繋ぐと出力が激しく変動
・ALCを切り離しても出力が激しく変動
・FILTERユニットは外しているが状況は変わらず
????????????????? 頭の中に ?マークが数千個....
動作状態で測定機を使って色々調べたいポイントがあるのですが
基板の裏側であったり、基板が2階建て構造だったりするので、
見たい個所からリード線で引き出して測定して、ハズレだったらまた回路図で検討して
違う個所からリード線を引き出してと言う作業になります。
何度も繰り返したのですが、悪い個所は残念ながら見つかりませんでした。
リボンケーブルを使ってあり、何度も付けたり外したりすると、コネクタが
破損したり、リボンケーブルが断線したり折れたりする可能性があります。
自分の物なら、「やっちまえ、壊れたらその時だい」と思い切ってやるのですが
預かり物は、いくらプレゼントすると言われていてもそうは行きません。
メールで状況を説明して、今ならラジオとして使えるので、修理せず返却するか
一か八かやってみるかの選択を委ねました。
返ってきた返事は、「使えなくなったら、持っていても仕方ないので
差し上げます」との事。「それなら遠慮は要らん」
調べる事数時間。にっこり笑顔です!
分かってしまえば、なーんだそう言うカラクリかと、不良部品を交換して一件落着。
一点を見つめないで、四方八方を見回すと良い結果が出ました。
思い込みはいけません。
安定して100W出るようになりました。