壊れた無線機を修理して欲しいと、時々依頼が来ます。
故障内容を書いて欲しいと昨年3月3日のBLOGに書いていますが、
詳細をきちんと書いてくる方は1割以下。
・受信できない
・送信できない
・VFOが動作しない
など、こんな簡単な内容しか書いていないのが殆どです
現物が届いて、その詳細を改めてメールでお伺いする事になります。
今回あった一件は、無線機と電源が別になった古い無線機で、電源のコンデンサが
パンクしたので、電源周りの部品を交換して欲しいとの依頼。
2012年3月23日のBLOGをご覧になったようです。
http://blog.goo.ne.jp/jr4gpa/e/5cdf3845f6feac3d8ef343ccd73a7177
この手の電源は、プリント基板化されていないので、非常に時間がかかるのと
電解コンデンサは同じ様なサイズの物を探さないと、取付に細工が必要となるので、入手できる物を
探すのに結構な時間がかかります。
壊れた電源が届いたので、部品を購入する前に、パンクしたコンデンサの状況を見てみようと
梱包を空けた瞬間、 「くさーーーーー!」 すごい臭いです。
ケースを開けて、何処から臭うか、犬のように 「くんくん」 してみました。
私の鼻では、コンデンサからではなく、トランス付近が一番臭います。
「コンデンサがパンク」 と言われていましたが、パンクしたと思われるコンデンサは見つかりません。
ヒューズはどう?とヒューズホルダーのキャップを外すと、ヒューズの姿は無く、さらに良く見ると
ACプラグがありません。切断されています。
メールで
・ACプラグがなぜないのか?
・ヒューズがなぜ入っていないのか?
・パンクしたコンデンサはどれ?
の3点を質問しました。
得られた回答は、
・ACプラグは熱を持ちふくらんだので切断した
・ヒューズは定格の8Aの物が無かったので15Aの物を入れたら、チリチリと音がして煙が出てきた
・パンクしているのは、xx μFのコンデンサである
と言う事で、異常なほどの臭いと、回答内容から修理できない旨をお伝えして、返却となりました。
なぜ修理出来ないか?
それは
・パンクしたと言われたコンデンサはパンクしておらず、煙が出たと言う事なのにコンデンサ、抵抗などに損傷が無い
・トランスから激臭がする
・定格の倍以上のヒューズを入れて、ACプラグが膨らむほどの時間通電し、どこからか煙が出ている
トランスの巻き線にダメージがあると判断しました。
1つのトランスから1000Vを越える高圧を含む複数の電圧を取り出しており、この状態で
もし生きていたとしても使い続けるのは危険です。
トランス屋さんで、トランスのチェックを受けるようにお願いしました。
無線機が壊れた時の鉄則は、BLOGのタイトル通り
「そのままの状態で、すぐに修理に出す」
・ヒューズが飛んだらヒューズの飛び方を見る、そして電源ON/OFFの繰り返しで細って切れた物か
異常で切れた物かを判断する。判断が出来ない場合は同じ容量のヒューズを入れて見る
再び飛んだら、すぐに修理に出す。無駄に触らない事。
・壊れた部品もそのままの状態で外さずに修理に出す
技術者は、その壊れた部品から不具合を推測できます。外してしまうと重要なヒントが無くなります。
・修理に出す時は、詳細を伝える
例えば、「受信出来ない」場合、単に受信出来ないだけではなく
例1.2時間程度運用していて、受信中に突然受信できなくなりました。
例2.3日前に近くで雷が鳴っていて、アンテナを抜くのを忘れていました。今朝スイッチを入れたら
受信できなくなっていました。それまではちゃんと受信できていました。
例3.1時間ほど交信していました。突然すっぱい様な臭いがして来て受信していた信号が
聞こえなくなり、異常だと思い電源を切りました。
など、詳細を知らせる事が必要です。