JR4GPAの「つぶやき」

JR4GPA の「つぶやき」です。修理依頼は、2013年3月3日のBLOGをご覧ください。

修理依頼について

修理依頼は、2013年3月3日のBLOGの内容をご覧になり、メールにてご連絡ください。

TS-850S 修理

2018-10-28 | Weblog
TS-850S の修理です。

TS-690、TS-850S、TS-950SDXの3台の電源を入れて、受信していたら
TS-850Sの表示が突然消えた。電源を切ってしばらくして電源を入れたら
表示しているけど大丈夫?と言う、おなじみさんからの問い合わせ。
KENWOODファンですね!

TS-850の持病は色々あるのですが、表示部とIFユニット内のAFのコンデンサは
液漏れしますので、早めの交換が良いと思いますが、DDSのICが初期型だったら
お金をかける価値があるかどうかは、オーナーさん次第ですとお知らせしました。

とりあえず送るから、色々見てくださいとの事ですので、荷物の到着を待ちます。

持病のあるDDS ICは改良品でしたので、一安心。



早速LCDユニットを点検。
やはり....



電解コンデンサを抜き取ります。



電解液をふき取って、洗浄剤でクリーニング。
そして実装。
パターン切れが無いか、周りのパターンの導通試験をします。

元に戻してパワーON。
復活しました。

しばらく通電試験をしていると、再び表示が消えました。
え?あ、壊れた!
冷陰極管が壊れたか、ドライブユニットが壊れたか?ここは金属シールドに覆われて
ぐるりと一周ケースを半田付けされていて、さらに回路図も無いのでここだったらお手上げです。
LED化するか?と考えながら、信号を追いかけて行くと電源ラインに信号がありません。
電解液でパターンが侵食されて、髪の毛より細いくらいでギリギリ繋がっていたのでしょう。
テスターでは電流を殆ど流さないので良かったのですが、冷陰極管を点灯させるだけの電流が流れたので
そこが溶断したようです。

電線で補修します。


再び復活!
良かった、良かった。LED化も覚悟だったので.....


次はIFユニット内のAFのコンデンサです。
LCDユニットに比べると、液漏れの量は少ないようです。


導通は問題ありませんでしたが、LCDユニットの件があったので、ここは一応電線追加。



音量が上がり、良い感じに仕上がってきました。


次はDDSユニットの電解コンデンサの液漏れ調査です。
液漏れしていれば、半田ごてを当てると電解液が蒸発して強烈なにおいを発するのですが
このRIGは問題ありませんでした。
3個ほど外して、容量計で測定しましたが問題ありません。
TS-850S Limitedや後期のTS-850Sは何台か見ましたが、ここの液漏れはありません。
このRIGもシリアルナンバーから、後期のものと思いますので、ここの電解コンデンサは交換しませんでした。


他にもALCやFANの問題がある機種ですので、来週はその辺を確認をし、調整をして
連続通電後、問題が無ければ返却したいと思います。




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TS-120S 修理 その3

2018-10-21 | Weblog
TS-120S の修理の続きです。

今週は、送信しても電波が出ないのを調査。
とりあえず、PTTを押すと送信状態になるので、どこで電波が出なくなっているかを調査。
RF UNIT出口では出力がありません。
では、RF UNIT入り口ではどうか。IFユニットからの信号と、PLLからの信号は来ています。
MIXERで混合された信号は? あ、無い。
ここか...

MIXER入力のコイルの断線も考えられるし、FETの故障も考えられるし
抵抗の劣化も視野に入れて信号を確認すると、FETがあやしい。
色々考えたけど、やっぱりFETがあやしい。
交換してみよう!

あれ?交換しても変化無し。
と、すると何だ??




しばらく回路図と 「にらめっこ」

ん、ACで測定していたがDCで見てなかった。
調べてみよう、 「あーーーーーー」 ここの電圧違うじゃん。
え、何で、え、もしかして。
あーーーーー、やっちまった。

先週のBLOGの最後に書いた一文が見事に的中。
RFユニットにも2SA1015が使われているのですが、2SC1815が実装されていました。
RF UNITは外すのが難しいのでまさかここのトランジスタが交換されているとは
思っていませんでした。
自然故障と思って、正規の回路図で考えるから答えは出ませんが
ここが2SC1815に置き換わっているなら、そうなるよなあ。

2SC1815 2SA1015に戻してやると、ちゃんとRF UNIT出口に信号が出てくるようになりました。

このUNITにある3つの2SC1815も交換されていました。
KENWOODの回路図にはYランクと記載してありますが、交換されていたのはGRランクでした。
TS-120は発振が問題になる機種ですので、このUNITをもう一度外すのは面倒なので
念のためにYランクの物と交換しておきました。

これであとはファイナルユニットを繋いで、100W出るかどうかの試験ですが、RF UNITは短時間で
チョイチョイと元に戻せる構造ではないので、ここは慌てずまた来週。
RF UNIT上のロータリーSWの接点もクリーニングしないといけない部分ですので
もう少し時間をかけて仕上げたいと思います。

他のUNITに2SA1015が使われていないか回路図で確認しないと、他の部分にも
使われていたら、きっと2SC1815に交換されていますから、回路図確認は
来週までの課題ですね。

本来の故障 + 「さてどこのトランジスタを違うものに置き換えたてあるでしょう?」
+ 「さてどこのパターンが加熱し過ぎて切れているでしょうか?」 と言う
意地悪クイズを含んだ修理ですので、素直には行かず、遊ばせてもらっています。
自分の無線機ですから、いつまでに仕上げないといけないなんて期日が無いので
遊ばれながら遊ばせてもらいます。


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TS-120S 修理 その2

2018-10-14 | Weblog
TS-120S の修理の続きです。

VOXをONにすると、すぐに送信になってしまう不具合の調査です。
その制御をするのがAF UNITです。




回路図を見ながら、オシロスコープで信号を追いかけます。
なるほど、VOX OFFでLOW ふむふむ正解。
VOX ONでも信号が来なければLOW ん?HIGH 何で?
上流に向かって信号を追いかけます。え、何でこうなってる?

このトランジスタ壊れてる?
外して 「わっ!」
やってくれました。2SA1015が実装されていないといけないのに
2SC1815が付いてる.....

これは先週の2SC460事件の続きですね。
前オーナーさん、片っ端からトランジスタを交換した時、刻印の末尾 15 を見て
1815 ねと勘違いしたようです。
2SA1015と2SC1815じゃあ、末尾が同じ 15 だあ、なんて宝くじの5等当選のような
訳には行きません。動くか動かないかなんて話じゃありません。

正規のNPNのトランジスタに交換して一件落着。




VOX ONでも普通の動作をするようになり、マイクから信号を入れたらちゃんと
反応するようになりました。

さて、次は送信状態にはなるが、パワーが出ないのを調査します。
この多数部品交換されている TS-120Sは、回路図通りではないので、もしかしてここも
間違ったトランジスタを入れているんじゃないか、パターンを切っているのではないかなど
いつも以上の推理が必要です。

終りが見えてきません......

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TS-120S 修理

2018-10-07 | Weblog
TS-120S の修理です。

この無線機は、5,6年前にある無線機を修理して欲しいといわれた方が
修理代の変わりに壊れた無線機でどうですかと申し出があり、それでOKですと
言う事になり入手した一品です。

そう言えば、そんな無線機もあったなあと引っ張り出してきました。

早速状況を確認。
その時のメールでは、頂き物で動作は良く分からないと書かれていました。

箱から取り出し、目にしたものは何やら本体から電線が出ています。
電源コードが無かったらしく、本体から直接電源コードが出ていましたので
それを撤去すると共に、本来の電源コネクタあたりの改造の有無を調べます。




これでやっと本来の電源コネクタから電源が入れられます。
通電して見ると



はい、PLLがUNLOCK。
バンドスイッチを違うバンドにセット。しかしPLLのUNLOCKは変わらず。
全バンドUNLOCKって......


他の部分を調べてみると、どうやらAGC電圧もおかしい。
色々不具合多数の模様。
これは、実に面白い!これで当分遊べそうと喜んでいるのは預かり物ではないので
返却の事を考える必要が無いので、じっくり遊べる教材であると言う事だからです。

もう不具合は無いか、信号を測定してみましたが、今の所はこの2点のみ。


さっそく摘出したのはPLLユニット。



何?見慣れぬ形の現代的なトランジスタ。
2SC460が多数使われているはずだが。
えーーーーーーーーっ。
あ、そうね。

BLOGを徘徊して、2SSC460を悪者にしているページが多数あるので、PLLがUNLOCした時点で
全て交換した模様。その代替トランジスタが、大爆笑の2SCxxxx そりゃあ、駄目だわ。
ちゃんとトランジスタの動作周波数を確認しましょうね!
で、せっかく交換されていた2SC460の代替と思って交換してあったトランジスタを
全て交換しなおし。
その途中、パターン切れを多数発見。素人さんは外すのに夢中で熱をかけすぎるから
パターンが浮いて、さらにグジュグジュこねくり回すから最後にはパターンが切れるのです。
あーあ、直そうとしたのか、壊そうとしたのか....
切れたパターンの所は補修をして、一応本来の姿に戻りました。
通電してみましたが、状況変わらず。それはそうでしょう、PLLのUNLOCKが出たから
2SC460と決め付けて、2SC460を全て交換して、さらにパターンを切っただけですから
それを元に戻しても、本来のPLLがUNLOCKを出す不具合は、何も対処されていませんから。

PLLの動作を頭に描きながら、信号を確認して行きます。おや、ここで、信号が増幅されていないと
いけないのに、入り口と出口で信号が変わらない。何でだ?
たどり着いたのは抵抗の不具合。テスターで計って見ると無限大です。あ、それでか、抵抗1本の交換で
PLLが見事に復活。LOCKしてくれました。

BLOGを見て、2SC460を交換すれば良いのか、電解コンデンサを代えれば良いのかと
根拠も無く交換して見ても殆ど直りません。今回のようなパターン切れを起こしていると
業者さんの中には時間単位で請求される所もありますので、パターン切れと分かるまでの時間
そして、元に戻ってそこからさらに不具合箇所を探すわけですから、安く直してもらおうと思ったら
触らずにすぐ出した方が安上がりだと思います。
自分で修理して直らなかったら捨てるという気が無いなら、触らないのが一番安上がりですよ!


あ、PLLがLOCKした時の写真を忘れた。
周波数表示が出ている普通のTS-120Sですから、まあ良いか。

SGから信号を入れると、受信はちゃんとしていますが、AGC OFFのような音。
まあこれは後ほど調査しましょう。


次は、送信が出来るか。
ダミーロードを繋いで、キャリアを絞って、送信!!!!!!
駄目だ。何も出てこない。ファイナル入り口でも信号がありません。
RFユニットあたりの不具合でしょうか。残念ながら時間切れとなったのでこの調査はまた来週。

そう言えば、VOXをONにしたら、いきなり送信にもなっていました。VOX関係の
外部から調整できるボリュームを回してみましたが、VOX ONだと送信のままは変わらず。

もしかして、PLL以外も2SC460を替えまくってあるのか?
それも2SCxxxxに。


先は長そうです。






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