見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

お盆旅行(1):春日大社万燈籠~東大寺万灯供養会

2009-08-18 11:12:24 | 行ったもの(美術館・見仏)
 大勢の人が日本列島を移動したこの週末(8/15-17)、私も関西方面に行ってきた。

MIHOミュージアム 夏季特別展『仏たちの物語』(2009年7月11日~8月16日)

 ガンダーラの石仏、中国の浮彫仏の拓本、奈良時代の絵因果経、仏画、仏像、経巻など、バラエティに富む。表装された経巻の断簡が美しかった。一番のお気に入りは、伝・因陀羅筆の寒山拾得図。ポスターになっていた如意輪観音像(仏画・鎌倉時代)が見られなかったのは、やや残念。参観後は、バス→石山駅→京都に戻り、奈良へ。今夜のホテルにチェックインを済ませて、ぶらぶらと奈良博に向かう。時間はすでに夕方の5時だが、この日は午後7時まで夜間開館なので大丈夫。

奈良国立博物館 特別展『聖地寧波―日本仏教1300年の源流~すべてはここからやって来た~』(2009年7月18日~年8月30日)

 「寧波」展は2回目なので、後期の展示替品を中心にチェック。まず目が留まったのは『伝教大師(最澄)入唐牒』(古文書好きなのである)。高さ一尺の「檀龕水天菩薩一躯」を所持していたんだ~とか、文書・衣物などの荷物が総計「貮伯餘斤(二百余斤)」って、どのくらいの重量なんだろうとか、いろいろ、想像をめぐらす。

 仏画・仏像は、けっこう入れ替わっていた。京都・清涼寺の釈迦如来の代わりをつとめるのは、神奈川・称名寺の釈迦如来像。楊貴妃観音のあとには、神奈川県立歴史博物館所蔵の菩薩坐像。どちらも、関東人の私には親しいお姿で、こんな異郷でお会いするのが、可笑しかった。仏画では、念願の『北斗九星像』が見られて満足。意外と小さいのだな。京都・大徳寺の『五百羅漢図』は全点入れ替えだったが、面白い! あと1回来て、全部見たくなってしまった。雪舟の『慧可断臂図』は、やっぱりいいなあ。達磨の輪郭を形づくる、涙にかすんだような、薄ぼけた墨の色がいいと思う。

 7時頃、博物館の外に吐き出され、そさくさと夕食。今日の予定はこれからが本番である。隣りを歩く人の顔も分からない夕闇の中、参道の石灯籠と、参拝客の提灯(これだけが明るい!)に導かれて、森の奥の春日大社へ。時折、鹿の呼びかわす声が響く。

春日大社 中元万燈籠(19:00~21:30)



 500円の特別拝観料を払うと門内に入れてもらえる。すでに長い列ができていたが、待つだけの甲斐は十分にあり。回廊の吊り燈籠に灯が入り、夢のようにきれい!! しかし、ゆっくりしてはいられない。20:00には高円山で大文字の点火が行われるのである。飛火野に急がなくては!

奈良大文字送り火(20:00点火)



 20:00にはだいぶ遅れてしまったが、なんとか間に合って見物する。左右の払いが長くて、雄大でよい。

東大寺 万灯供養会(19:00~22:00)

 

 最後は東大寺大仏殿へ。南大門を過ぎたあたりから交通規制がなされ、参拝客は、少しずつ集団を区切って、門内に流し込まれる。入場は無料らしい。10~20分ほど待って入場。考えてみると、正門から入るのって、初めての体験かもしれない。突然、視界に飛び込んできた、大仏殿の中庭、周囲、壇上などを燈籠が埋め尽くした光景に、声も出ない。窓から顔を見せている大仏さまも、今宵は幸せそう。つややかに輝く金色の光背が美しい。堂内には、読経の声が流れている。

 冬の修二会が、最近すっかり観光化してしまったのに比べると、この万灯供養会は、地元の方が多いのではないかと思った。また来たいなあ。
コメント
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