銀行には、自分のことしか考えない人が多いのか。
それにしても、今回の支店長代理は、みなお若い
それで、気負いもあったろうが、その発言ぶりは
皆、慇懃無礼。そうした伏線はあった。
怒鳴りつけてやりたかった。
情けない、と会場からたたき出したかった。
委員、辞退しろ、
と私が責任者であれば、言いたかった。
再建のお手伝いをしている。
その、いわば再建委員会での、できごと。
債権者の一人であり、委員の某大手銀行の
支店長代理の発言である。
他の銀行の委員も、再建のことより、
いかに自銀行にことを有利にもっていくか。
いや自分の銀行の分だけ確保できればいい、
といった発言が続いていた。
昔は、こうした発言に目くじらを立てたが、
銀行に人間性か思いやりを求めることが、
あほらしくなり、少々のことでは驚かない。
私も堕落したのか、それとも大人になったのか。
で、そうしたリスケへ話が集中することや、
会議で検討すべきなのに、
「債務者と個別に話をさせて頂きます」
といった、場をわきまえない話も、
我慢が出来るようになった。
だが、
「この若造、外へ出ろ!」
とののしりたいぐらい、
エリート意識と自尊心で固まったこの代理は
「ある問屋から、支払いサイトを延ばしてくれと
オタクに言われたといった話を小耳にはさんだ。
事実か?」
といった詰問を、債務者へしたのだ。
これは、聞き捨てならぬ発言である。
一種の債務者に対する恫喝だ。
他の銀行の代理どもの顔が、さっと変わった。
当然だ、
この都市銀行に抜け駆けされる、と恐れたのだ。
ゆゆしき発言である。
「今の話、聞き捨てならぬ。その話は、事実か。
そうではなくて、風評に基づく発言なら問題だ。
撤回し、謝罪しなさい。
事実であったとしても、
再建会議で再建委員の発言としては
適切さに欠ける。どっちなんですか」
私は、怒鳴りあげたい気持ちを抑えて、彼に問うた。
驚いたことに、
「一般論としていったこと。この会社のことではない」
と、この若造、平然と言い抜けようとするのだ。
ここで委員長から発言。
「私も、不謹慎究める発言と受け取った。
再建を協議する会で、風評発言は問題だ」
銀行メンバー以外の委員も、
委員長のその発言に、相づちをうつ。
散会。
会が終わって、事務所に戻って、次の打ち合わせ。
肝心な委員長がいない。
しかたがなく数人で雑談。
5分ぐらい遅れて、委員長が応接間へ現れる。
手に、アイスクリームの袋をもって。
「委員長は、田上さんのあの発言が
自分の代弁と、うれしかったのですよ」。
副委員長のMさんが、ささやく。
怒鳴って喜ばれるのも、奇妙。
銀行員を叱って、うまいアイスクリームを
ごちそうになれるのなら、いつでも、と、
いつものうかつな軽口が出そうなのを、
慌てて押さえた。
人を叱ることは、己を諭すことでもある。
次は我が身の例もある。
私ももっとお利口さんにならなければ、と思った。
それにしても、あの発言を訂正するでもなく、
謝罪するわけでもなく、
見え透いた言い訳で平然としておられるあの行員。
そしてその程度の男を、自分の代理として、
よこした支店長。その彼らの銀行は
実は、再生機構のお世話になった、
あの大手銀行なのである。
彼らになんとか助けてあげたい、
という気持ちなど、求めはしない。
だが、豚は太らせて食べるぐらいの
利口さと、願わくは謙虚さ、この2つぐらいは
あの倒産で学んでおいて欲しかった。
(事実を、特定できない範囲で加工をしています)
それにしても、今回の支店長代理は、みなお若い
それで、気負いもあったろうが、その発言ぶりは
皆、慇懃無礼。そうした伏線はあった。
怒鳴りつけてやりたかった。
情けない、と会場からたたき出したかった。
委員、辞退しろ、
と私が責任者であれば、言いたかった。
再建のお手伝いをしている。
その、いわば再建委員会での、できごと。
債権者の一人であり、委員の某大手銀行の
支店長代理の発言である。
他の銀行の委員も、再建のことより、
いかに自銀行にことを有利にもっていくか。
いや自分の銀行の分だけ確保できればいい、
といった発言が続いていた。
昔は、こうした発言に目くじらを立てたが、
銀行に人間性か思いやりを求めることが、
あほらしくなり、少々のことでは驚かない。
私も堕落したのか、それとも大人になったのか。
で、そうしたリスケへ話が集中することや、
会議で検討すべきなのに、
「債務者と個別に話をさせて頂きます」
といった、場をわきまえない話も、
我慢が出来るようになった。
だが、
「この若造、外へ出ろ!」
とののしりたいぐらい、
エリート意識と自尊心で固まったこの代理は
「ある問屋から、支払いサイトを延ばしてくれと
オタクに言われたといった話を小耳にはさんだ。
事実か?」
といった詰問を、債務者へしたのだ。
これは、聞き捨てならぬ発言である。
一種の債務者に対する恫喝だ。
他の銀行の代理どもの顔が、さっと変わった。
当然だ、
この都市銀行に抜け駆けされる、と恐れたのだ。
ゆゆしき発言である。
「今の話、聞き捨てならぬ。その話は、事実か。
そうではなくて、風評に基づく発言なら問題だ。
撤回し、謝罪しなさい。
事実であったとしても、
再建会議で再建委員の発言としては
適切さに欠ける。どっちなんですか」
私は、怒鳴りあげたい気持ちを抑えて、彼に問うた。
驚いたことに、
「一般論としていったこと。この会社のことではない」
と、この若造、平然と言い抜けようとするのだ。
ここで委員長から発言。
「私も、不謹慎究める発言と受け取った。
再建を協議する会で、風評発言は問題だ」
銀行メンバー以外の委員も、
委員長のその発言に、相づちをうつ。
散会。
会が終わって、事務所に戻って、次の打ち合わせ。
肝心な委員長がいない。
しかたがなく数人で雑談。
5分ぐらい遅れて、委員長が応接間へ現れる。
手に、アイスクリームの袋をもって。
「委員長は、田上さんのあの発言が
自分の代弁と、うれしかったのですよ」。
副委員長のMさんが、ささやく。
怒鳴って喜ばれるのも、奇妙。
銀行員を叱って、うまいアイスクリームを
ごちそうになれるのなら、いつでも、と、
いつものうかつな軽口が出そうなのを、
慌てて押さえた。
人を叱ることは、己を諭すことでもある。
次は我が身の例もある。
私ももっとお利口さんにならなければ、と思った。
それにしても、あの発言を訂正するでもなく、
謝罪するわけでもなく、
見え透いた言い訳で平然としておられるあの行員。
そしてその程度の男を、自分の代理として、
よこした支店長。その彼らの銀行は
実は、再生機構のお世話になった、
あの大手銀行なのである。
彼らになんとか助けてあげたい、
という気持ちなど、求めはしない。
だが、豚は太らせて食べるぐらいの
利口さと、願わくは謙虚さ、この2つぐらいは
あの倒産で学んでおいて欲しかった。
(事実を、特定できない範囲で加工をしています)