経営コンサルタント田上康朗の雑感帳

経営コンサルタント田上康朗が、気ままに本音で記す雑感帳です。書く日もあれば書かないときもあります。

「私」と大統領

2008年06月23日 | Weblog
朝、7時半、うえの自治会館(平屋の築43年のあばらや)へ集合。
自治会の道路清掃のボランタリーの日だ。
草刈り機を使っての2時間の作業は、けして楽ではない。
しかも80代が3人、70代が11人といった高齢化集落である。

この集落は、跡継ぎが帰ってこない。
で、当然だが土地の値段が下がる。
それで、不動産屋が買い、解体、整地し、売り出す。

なにせ新幹線で鹿児島まで17分の薩摩川内市のこと。
あっというまに買い手が付く。
わが上野集落でも、この2年で4つの新しい住宅が出来た。
うれしいことだ。

買い手は、当然?30~40代の若い世代の人たちだ。
かくして、この集落にも新陳代謝が起きている。
本当に嬉しいよ。

今日は、上が83歳、下が31歳の皆さんが、
せっかくの日曜日を潰して、地域活動に参加。

有り難いと、今の自分は思う。
だがかっての私は、そうしたことを、
「それ、行政の仕事」。
「忙しい俺が、何でやらにゃならんのけ」

と思っていた。

事実、名は連ねていても3回に1度の参加。
それで良し、といったことだった。

欲得について考えている。
ボランタリー活動を、欲得の側面から考えたらどうだろう。

ボランタリ-なのだから、欲であるはずがない。
そう解していた。
以前の私は、そう思っていた。

.私は欲が深い。
だからボランタリーなどは、ごめんだ。
そんな暇があったら、仕事。仕事。
そう思っていた。

だが、今は違う。
端的に言えば、私の心の中で、欲がバージョンアップした。
大欲に、否、超大欲化したのだ。
欲がうんと俯瞰化し、うんと抽象化した。
そんなふうに思っている。

落語に、「もう半分」、「五月のぼり」といった、
ついつい欲をのばしたために、えらい目に遭うといった話がある。

だが、私は欲を大きくして良かったと思っている。

昔から、人の持つ欲には限りがない、というひとつの証か。
欲はどんな人にも例外なく、これまでも、今でも、これからも、
無くなることはないだろう。

だから無欲になろうと思わずに、
自欲、個人欲を、とてつもなく拡げて
大きくお国のため、地域のため、地球のため
といった大きな欲にすれば

と、思ったのだ。
以来、欲の性悪説には、私は与しない。

断然不利といわれていたオバマ氏が、
圧倒的勝利の下馬評の高かったクリントン氏に、
買った。

なぜ勝てたか。その理由は?

立命館大学の東 照二教授が、興味深い健勝をしている。
(共同通信08.6.7朝刊掲載論評)

この3月4日の演説を例に取ると、
クリントン氏、I(私)の回数、23回。WE(私たち)の回数 41回。
対して、
オバマ氏  I(私)の回数、10回。WE(私たち)の回数 75回、


もちろん他の会場の演説でも、圧倒的にオバマ氏は、Iが少なくWEが多いと。

自己欲、その欲の突っ張りを諸悪の懇願とは言わないまでも
これが元で様々な災いを引き起こしている。

だがその欲が、うんと広く抽象化すれば、どうだろう。
たとえば自己愛が、宇宙愛になればどうだろう。

自分の部屋を綺麗にしたい。
だから部屋の外へゴミを掃き出す。
これが地球の環境問題になっている。

それで、地球が汚れる。
地球を綺麗に保つためには、地球の外にゴミをはき出せ、という。

だがとてつもない大欲者は言う。
それでは単に地球が綺麗になっただけ。
地球は、宇宙の中に存在している。
だから、それではいつか地球も汚れる。

このように欲のレートを上げる。
すなわち、俺から、俺たち、俺たちから、地域、地域から県、
県から日本、日本からアジア、アジアから世界、世界から地球、
そして宇宙といったように、うんと俯瞰化し、うんと抽象化する
そうすれば、自分だけ良しは薄くなり、
世のため、地域のため、宇宙のためにということで、
歓迎されることになると思うのだ。

あるいは、いい加減、いい案配、といったように
分限を守ることができる。
そうすればまずは幸せな人生を全うできるのでは。

欲の突っ張りがより大きくなればなるほど、
より普遍性を帯びてくる。
普遍性があるということは、多くの人が同じ床で同じ夢を見る、
理想、願うものが共有化することになる。

 もくもく奉仕活動をしている。
そうした仲間達たちを見ながら、思う。
彼らは、あるいは奉仕活動を「している」といった欲すら
思うことなく、為しているのでは。

しからば、「無欲は大欲に似たり」。

ここにクリントン的経営者が登場したとする。
そして、宣わく。

「私なら、その2時間で50万円の売上を稼ぎ出す」。
「、私の力で米国をより豊かに出来る」

次に、オバマ氏、曰く。
「私たちは、みんなで89円の発泡酒と3袋500円の珍味で、
   私たちの流した汗に乾杯できる幸せを共有できる」。

 10時に作業を終了。
1缶89円の発泡酒で、乾杯。
「汗を流した後の、ビールは、うまい」

と、ささやかな宴をめいっぱい喜びあう仲間達。

みな、口々に言う。
「このビールが最高に美味い.それが楽しみでやっているんだ」

それを欲の突っ張りの私が、
「薮払い&道路清掃のクリーン作業。2時間で89円支払う。やりませんか」
と、大声で呼びかけ、チラシをうつ。

集まるか。ノウだ。

それまで日が差していたのに、天、にわかにかき曇り大雨。
それを潮に、みな解散。