いやーおもしろく読み応えがある本にめぐりあいました。
これは諏訪地方が舞台なのでしょう。黒曜石を星糞と読んでいるとブラタモリでやっていましたから。
そんな諏訪地方の神社を舞台にして、ある騒動に中学生のワタルがまきこまれる話です。
今の世の中、ブームがあると、一気に話題がふくらみ、注目してマスコミがちやほやしますよね。でも、マスコミってよく考えないで、話題性ってだけで、報道して無責任。
そんな世の中をよく描いています。
犬のしっぽを切ってしまおうかという流れのところは、ぞわっとこわくなりましたが、こういうこともあるか、とも思いました。
ワタルが最後、おとうさんにいったことばもすごいと思いました。
とにかく、樫崎さんの文章もすごい。ワタルの気持ちの微妙な部分も、センスのあるレトリックをつかって書き分けてありました。
読んでうなった作品はひさびさです。
諏訪地方にわたしが、よく行って、他のところよりも知ってるってことも評価を高めているかもしれません。
上諏訪の上社、下諏訪の下社。歴史あるふたつの大きな神社が守る地域。昔は諏訪湖はもっと広く、そのため、浜とか潮とか付く人名が多いこと。
そんなことがさりげなく、物語の底辺をささえています。
カエルや野生の鹿の頭をささげるおんとう祭御頭祭(酉の祭)《諏訪大社上社の神事》 (yatsu-genjin.jp)
も、実際にやっていたことなのでしょう。今は剥製をつかって、やってるそうで、生きものは殺さないそうですが。
もちろん、この作品では、諏訪地方というふうに言及はしていません。星の町(旧星くそ村)となっています。あくまで、創作です。
でも、物語の力を感じます。ぜひ、読んでみてください。