JA6VQA 日々新たに

趣味のアマチュア無線で海外との交信や写真などを中心に、日々感じることを書き綴ってみます。
 

乃木希典は愚将だったのか?

2016-07-06 19:24:15 | 読書
 NHKがかって3年にわたりドラマ化した面白く楽しんだ
「坂の上の雲」。
 この原作は司馬遼太郎著の同名の小説でした。
 単行本で6巻、文庫本で8巻の長い小説でした。
 小説としてはとても読み応えのある面白いものでした。

 この小説で司馬氏はどういうわけか旅順港、203高地
攻めをした乃木希典について愚将と言わんばかりに書き
連ねております。
 乃木神社に神としてまつられ、東郷平八郎とともに
日露戦争の英雄と教えられてきたものにとってはとても
理解できないものでした。

 乃木大将はどんな人だったのか、本当のことを知りた
いとかねてより思っておりました。

 最近PHP新書で桑原 巌著「乃木希典と日露戦争の真実」
副題が「司馬遼太郎の誤りを正す」 という本を見つけ
ました。
 この本の情報として「坂の上の雲」は間違いばかり、
「乃木愚将論」は真っ赤な嘘!実は乃木大将が「戦争上手」
だったからこそ、日本は救われたーー。とあります。
 著者の桑原氏は陸軍士官学校(52期)、陸軍中野学校に
学び、戦後は陸上自衛隊で陸将補まで務め、精緻な戦士分
析に基づき、西南戦争から203高地、奉天開戦まで、乃木希
典の生き方と戦いの真相を描き切った真実究明の書である
と紹介されています。
 「そもそも本書執筆の動機は、司馬氏の日露戦争に関す
る記述があまりにも独断偏見に満ちているにもかかわらず、
それがあたかも歴史の真実かのように広く信ぜられている
ことに、義憤の念止み難きものがあったからである。あま
りにの多すぎる簡単な史実の誤りに対し、いったい彼は
資料を本当に読んでいるのかと疑問を持つようになってき
た」と著者は本書を記した気持ちを言っております。
 この本を読んでみると、これまで疑問に思っていたこと
の真実を次々にこたえてくれます。
 
 歴史家と小説家ではその立場のずいぶん違います。
 一方は真実はいかにあったのかの追求です。
 他方は自分の描いた想像の世界で、面白い筋立てはどう
かを考え物語を作っていっているのだと思います。
 そこに描かれていることは事実とは違うことも当然ある
のですが、作家の名前が大きいとあたかもそれが事実で
あったと読者は思ってしまいがちです。
 ましてや司馬氏が書いたこととなれば、乃木は愚将だと
多くの人は思ってしまうのです。
 そしてそれが正しい歴史と思われてしまうのが怖いです
ね。
 戦後GHQの政策か、ゆがめられ自虐的に書かれた多くの
日本の明治以降の日本の歴史が少しずつ見直されてきてお
ります。
 物語の歴史と歴史書として書かれた歴史とが混在してい
ますが、選択するのは読者です。読むほうが気を付けなけ
ればと思います。




 
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