何ともシックな「友禅染め」の高級魚
友禅(ユウゼン)と言う耳慣れない名の魚、チョウチョウウオ科の小型海水魚です。
相模湾から高知、先島諸島、伊豆諸島、小笠原諸島、など南日本近海だけに住む固有種で純粋「メードイン・ジヤパン」
チョウチョウウオには珍しくブラックを基調にまるで念入りに仕上げられた南部鉄瓶を思わせるような肌合いに発見者のアメリカのフオーラー博士(1903年)は「精巧に鍛造された錬鉄の芸術品」と絶賛。
ところが和名を付ける段になって当時の日本の学者はなんとも「イキ」でしたね。糸目の白線がとてもシックな味わいを醸し出す「友禅染め」の特徴から、この魚をためらうことなく「ユウゼン」と名付けたのです。欧米人と日本人のイメージ感の違いがくっきりでています。更紗(さらさ)、絣(かすり)、紬(つむぎ)、疑麻(ぎま)など織物や染色文化が、魚名に充てられるのは我が日本だけの魚名文化でしょうか。
友禅染め、と聞けば、金沢あたりの指を切る様な冷たい河川で見られた冬の風物詩「友禅流し」がまぶたに浮かびます。そういえば「春を呼ぶ友禅流し」などという歌謡曲もありましたね。釣りのエモノというより、むしろ水槽に泳がして鑑賞する海水魚フアンの垂涎の的。そこで気になるこの魚のお値段は調べてみると
十センチそこそこの大きさで、ナ、ナント!鑑賞魚店の上代価格は一匹10万円を挟んでプラスマイナス5万円が相場とか。友禅染の名に恥じない世界に誇る超高級魚の面目躍如、納得のお値段でした。ハイ。