佐藤功の釣ったろ釣られたろ日誌

釣り・釣りの思い出・釣り界のこと・ボヤキ.etc

唐猫の話・第5話

2012-06-01 20:43:59 | 日々の思い

第5話  青森県の猫神・木の上の「唐猫」  5月6日

木の上の「唐猫」
青森県中津軽郡
西目屋村・砂子瀬地区
 

 

浜松市の伝統工芸品
「 遠州綿紬」ロゴマークの糸車

 はじめに
 「青森県の唐猫」の話です。もとの題名 だいめい は「木の上のあねさま」でしたが、この「あねさま」は、話の中では「唐猫」になっていますので、このブログでは「木の上の唐猫」に題名を変 えてみました。

このお話は、インターネット上 じょう の「スーちゃんの妖怪通信 ようかいつうしん 」という、民話 みんわ ・伝説 でんせつ を紹介するたいへん優 すぐ れたサイトから、要約 ようやく して借 か りてきました。もとの話は、方言を多くふくみ、しかも、もっと長いものでした。興味 きょうみ のある人は、ぜひこのサイトを訪 たず ねて、ほかの民話・伝説も読んでみて下さいね。


 木の上の「唐猫」
 
それでは、お話に入ります。


昔、村の真ん中に、墓 はか の上に立つ大銀杏 おおいちょう があり、晩 になると、その上に、「行灯 あんどん 」  をつけて、針 はり 仕事 しごと をする「あねさま (=若 わか い女の人) 」が現 あらわ れた。この村はマタギ (=狩人 かりゅうど ) の村だったので、女に向 む かってみんな鉄砲 てっぽう を撃 う ったが、弾 たま は一つもあたらず、退治 たいじ はできなかった。

ある「あんさま (=若い男) 」が、退治に行くと、女は木の上の行灯の下で、やはり裁縫 さいほう をしていた。男が、女の影 かげ に向かって鉄砲を撃つと、明かりは消え、何かが落 お ちる音がした。朝、見にゆくと、血 ち のあとが残 のこ っていたので、それをたどって山に入ってゆき、川をこえた山むこうの洞穴 ほらあな についた。

洞穴の近くには、二人のわらべ (=子供) が遊 あそ んでおり、誰 だれ か来たかとたずねると、一人は誰も来ないと答 こた え、もう一人は、お父 とう が夕べ村で怪我 けが して、おくの座敷 ざしき で寝 ね ている、と言った。男がのぞくと、大きな「唐猫」が頭に包帯 ほうたい を巻 ま いて、うなって寝ていたので、鉄砲で撃ってこれを殺 ころ した。このとき、「唐猫」は、おまえは家にもどるのに、茨 いばら の原を三年、茅 かや の原を三年、石ころの原を三年歩かないとならない、と告 つ げた。

男が洞 ほら の外 そと に出ると、辺り一面、茨の原になっていた。全身 ぜんしん とげで血みどろになりながら、男は必死 ひっし に歩き続 つづ けた。そのうち、髪 かみ はぼうぼうになり、爪 つめ も伸びてきた。それでもひたすら歩き続けると、やがて一面 いちめん の茅の原に出た。来る日も来る日も、その原を歩き続けると、今度 こんど は石ころだらけの原に出た。転 ころ んで顔 かお の皮がはげて、血だらけになり、手足にマメができ、男はもうすっかり化 ば け物 もの であった。

このように永 なが い時間 じかん を歩き続けると、突然 とつぜん 、男は自分の家の前に出たので、喜んで入ろうとすると、みんな「化け物だ」といって入れてくれなかった。男のお葬式 そうしき は、もう九年も前に出されていたのだった。それでも家の人がよくよく化け物の顔を見ると、それはその家の「あんさま」だった。

だから、いたずらしない生き物を、いじめたり殺したりしてはいけないのだという。

 

話・成田キヌヨ (昭和七年生)
聞取り・藤井和子

 

コメント
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