生き生き箕面通信

大阪の箕面から政治、経済、環境など「慎ましやかな地球の暮らし」をテーマに、なんとかしましょうと、発信しています。

2434 ・中村哲さんが訴えています。「アフガンに水と平和を」と

2015-08-23 09:57:39 | 政治

おはようございます。
生き生き箕面通信2434(150823)をお届けします。

・中村哲さんが訴えています。「アフガンに水と平和を」と

 「世紀の大干ばつはいまも続いています。清潔な水がない。食べ物がない。母親の胸に抱かれた幼い子どもが、診療所の順番待ちの列に並んでいる間に死んでいくのです」と、中村さんが昨日8月22日、箕面市のメイプルホールで開かれた講演会で現地の実情を伝え協力を呼びかけました。

 「大干ばつのために、伝統的な地下水路の名前はカレーズというのまでもが枯れてしまった」

 「ソ連軍が撤退した後にやってきた米欧軍に求めたのは国際救援物資だったが、実際にやってきたのは空爆だった。降ってほしいのは爆弾の雨ではなく、水と食料だったのだ」

 「米欧軍がやってきて以来、最近までの10年ほどの間に200万人が死亡し、600万人が難民となって国外に流出しました。大干ばつも重なって、現在もなお村が消えて行く状態が続いています」

 「米欧軍がタリバン政権を崩壊させて、『自由が戻ってきた』と宣伝されましたが、自由が戻って盛大になったのは、麻薬の材料になるケシ畑。そして『売春をする自由』『乞食をする自由』『餓死する自由』です」

 「私たちがやっているPMSは、ペシャワール平和医療団という医療組織ですが、今なお進行する大干ばつに対処するため、活動の重点は医療よりも水利灌漑事業です。それを支えているのは、銃弾の危険の中でも工事に頑張っている現地の人々です」

 「人々の願いは二つ。一日に三回食事ができること、そして、自分のふるさとで自分の家族と暮らせること、の二つです。そのために必死で頑張っています」

 「日本に帰ってきてから驚いたのは、『タリバンの圧政から解放されて喜ぶ女性たち』といった映像が目立ち、米欧寄りの偏った情報によって本当の姿が知られていないことです」

 「水路が完成し水が戻ってくると、砂漠だったところで田植えができるようになり、穀物が育ち、果物が実り、牧畜もできるようになる。祈りの場のモスクができ、バサールも復活して、農村共同体が形づくられるようになりました。水の力は偉大です」

 「資源を多消費しなければ成り立たない先進国型経済は行き詰る。株価が上がれば幸せになるのか。使える資源には限りがあります。人間と自然はともに生きていくことが大切です。そして、人間同士は和解すること。恵みを与えること。20万年前に人類が誕生しましたが、ともに折り合って、仲良く平和に生きていきたいものです」

 中村さんは、人類誕生以来20万年も経つのに、いまだに清潔な水が得られない人々がいることに情けなさを感じているようです。パキスタンのペシャワールでハンセン氏病の治療にあたり始めたのをきっかけに、水利事業に明け暮れしてすでに30年を超えました。真っ黒に日焼けした小柄な体で全国を駆けまわり、善意の募金を募っています。

 中村さんは、清潔な水、偉大な水を届けようと懸命です。こう言っています。「私たちに確固とした援助哲学があるわけではないが、唯一の譲れぬ一線は、『現地の人々の立場に立ち、現地の文化や価値観を尊重し、現地のために働くことである」と。

 中村さんは、ただ清潔な水と平和な暮らしがかなえられないアフガンの人々をほうっておけないだけですが、「叶うならもう少し寿命がほしい」ともらしていました。なんとか、水を得て、平和な暮らしを得る人々の姿を見たいという思いでいっぱいです。