生き生き箕面通信

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2426 ・戦後70年の検証⑨ 全編を貫くたぶらかしの安倍談話

2015-08-15 09:02:33 | 政治

おはようございます。
生き生き箕面通信2426(150815)をお届けします。

・戦後70年の検証⑨ 全編を貫くたぶらかしの安倍談話

 今回の安倍談話の本音を要約すれば、「皆さんの望む言葉は全部入れましたよ。だけど、私はそれとは関係なく“戦争法案”をやりますよ。謝罪は今回もしませんでしたが、今後もしませんよ」ということになりましょうか。なにしろこの男、言うことは、「耳触りのいい言葉を連ねるが、やることはそれとはまったく逆だよ」と、現行不一致の名人です。

 ただ一か所、言行一致の文言があります。「子ども達に謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」というくだりです。自分が謝罪したくないのを、「子どもたちに謝罪の宿命を背負わせてはならない」と、見事にすりかえました 。

 驚くことに、安倍談話は、「無責任の体系」で貫かれています。本文中に「責任」の文字が使われているのは、次の3か所です。「過去を受け継ぎ、未来へと引き渡す責任があります」「アジア、そして世界の平和と繁栄に力を尽くす。その大きな責任があります」「核兵器の不拡散と究極の廃絶を目指し、国際社会でその責任を果たしてまいります」。ここで使われる「責任」は、どの国のどの指導者でも当たり前のことで、言わずもがなのことです。

 安倍談話で明らかにしなければならない「責任」は、ずばり「戦争責任」のはずです。ところが、為政者の戦争責任に関連するくだりは実に巧妙に避けています。たしかに、多くの言葉を費やして過去の戦争に触れました。多くの人を犠牲にし、傷つけたことを認めた言葉もあります。しかし、そこからは、まるで他人ごとのようなニュアンスがたちのぼってき、とても反省とお詫び、あるいは「真面目な責任」というものは感じられません。

 戦時中の軍部主導体制が天皇を含め、丸山真男がいうところの「無責任の体系」でしたが、安倍談話も見事に「無責任の体系」で貫かれています。

  前半の部分に、「満州事変、そして国際連盟からの脱退」と、先の大戦の経過に触れた個所がありますが、その後はいきなり、「そして七十年前。日本は、敗戦しました」と、羅列するだけです。戦争責任への言及は一切なし。あるのは、「国内外にたおれた すべての人々の命の前に、深く頭を垂れ、痛惜の念を表すとともに、永劫の、哀悼の誠を捧げます」という、得意のフレーズです。こういっては、犠牲になった人々に失礼になるかもしれませんが、お涙ちょうだいの噴飯ものなのです。

 自分の祖父、岸信介氏は、満州事変の起きたその満州で植民地経営の責任者であり、地元の人々を搾取する当事者だったのです。

 後半では、やたら上から目線のお説教調が目立ちます。「私たちは、心に留めなければなりません」「私たちは、思いを致さなければなりません」などです。

 締めの部分では、「『積極的平和主義』の旗を高く掲げ世界の平和と繁栄にこれまで以上に貢献してまいります」と、“崇高な決意”をしてみせました。足元の国会では、戦争法案の成立に余念がないにもかかわらずです。言ってることとやることがどんなに食い違っていても平気です。カエルの面にしょんべんなのです。

 朝日新聞は本日の社説で、「何のために出したのか」と問いました。分かり切ったことです。アベの、アベによる、アベのための談話。つまり自己満足だけのための談話にすぎない。全編、たぶらかしの談話。戦後70年の総括と検証をすべきはずのものなのに、こんなくだらないものならわざわざ出す意味は全くありませんよね。