▲ 今週のみけちゃん
▼ 新しい街でもぶどう記録;第471週
■ 今週のよその猫
旧山縣有朋邸庭園/ 農林水産省 三番町共用会議所
■ 今週の武相境斜面
■ 今週のメタセコイア
■ 今週の草木花実
■ 今週の印度旗翩翻(いんどきへんぽん)
インド大使館。東京九段
■ 今週のお庭
旧山縣有朋邸庭園/ 農林水産省 三番町共用会議所。年に1度の一般公開(公式web site)。
■ 今週のイチョウ並木
神宮外苑
■ 今週の「本気」
「ガストブラックカレー本気盛り」(ガスト web site)
うすカツ、から揚げ、海老フライ、チーズINハンバーグ、目玉焼きとブラックカレー
■ 今週の写真展
生誕90年記念 細江英公 作品展「この写真家の熱量を観よ!」(公式 web site)
■ 今週返した本
三牧聖子『Z世代のアメリカ』。アメリカのZ世代[1](1997-2012年生まれ、2023年で11-26歳)というのは「アメリカ人であることを非常に誇りに思」っているのは約2割なのだという [1]。このことだけで、おいらは、アメリカのZ世代に興味をもった。米国人は正気になりつつあるのだろうか?そもそも、奴隷主と先住民虐殺者が肇[はじ]めた国が米国だ。強姦者もいる。米国の特徴は、例えばチンギスハーンのような単純な「奴隷主と虐殺者」と違って、人権とか、民主とか、自由とか奴隷制やジェノサイドを否定するお題目を掲げることである。そして、自らの蛮行になんら関心がないことである。つまり、その存在が最初から欺瞞的なのである。「アメリカ真理教」の信者は、これを「理念国家アメリカを見誤るな」と称し[0]、理念のみ見て、実際にやっていることを無視する。あるいは、せいぜいそれらの「蛮行」をみたら、「そんなことは理念からはずれたことだ」といっていれば「論理的」に片付くのである。そして、ちゃんと、理念に向かい進めばいいのだと。そうして、1619年からアフガニスタンでのテロとの戦いにおける民間人殺害までずっとやってきたことだ。なぜかしら、今に至って、Z世代というのが気づき始めたとのこと。この米国の本性の認識をwoke:目覚めるという。ジョージ・ワシントンなど建国に父たちは、奴隷主と先住民虐殺者であったことを認めたくない「保守」派はこのwokeを敵視する。もっとも、「保守派」ではないが、どんなにリベラルな考えを標榜しようと人生や生活が「保守」的である「リベラル」学者がこのwokeに怯えている話はしたことがある(<「文化大革命」に怯える>堀田絵里)。アメリカのZ世代の特徴的な属性は上記のアメリカを誇りに思わないに加え、現在のパレスチナ紛争で、全米の平均と比べ、パレスチナ支持が高い [3]。ちなみに、人種の構成は白人が51%とのこと。つまり、米国の若者(11-26歳)の半分はもう白人ではないのだ。
[0] (理念国家アメリカを見誤るな google)今日(2023/11/25)青山一丁目駅付近の路上で、北岡伸一を見た。
[1] Z世代
[2] Z世代で、「アメリカ人であることを非常に誇りに思う」と回答したのは16%。ミレニアル世代は36%。アメリカ人全体では、 63 パーセント。なお。2013年には、アメリカ人の85%がアメリカ人であることを「非常に、または非常に」誇りに思っていると回答した。
なぜZ世代の多くはアメリカを嫌うのでしょうか? 私たちが彼らを諦められない
ミレニアル世代とZ世代がアメリカ人であることに誇りを持たない理由
■ 三牧聖子『Z世代のアメリカ』の章立て
第1章 例外主義の終わり―「弱いアメリカ」を直視するZ世代
第2章 広がる反リベラリズム―プーチンと接近する右派たち
第3章 米中対立はどう乗り越えられるか―Z世代の現実主義
第4章 終わらない「テロとの戦い」―Z世代にとっての9・11
第5章 人道の普遍化を求めて―アメリカのダブル・スタンダードを批判するZ世代
第6章 ジェンダー平等への長い道のり―Z世代のフェミニズム
第7章 揺らぐ中絶の権利―Z世代の人権闘争
▼ アメリカ例外主義 [wiki]の終焉?
本来のアメリカ例外主義(ファナティックな使命感をもった征服者)というより、ここ20年の対テロ戦争に始まりアフガン撤退に至る米国の凋落を目の当たりにしてZ世代が弱い米国=世界で異常に卓越した権力国家を所与のものとできなくなったことがこの本の基調。
なお、三牧聖子さんは、2021年の「アメリカは「例外国家」である続けるか」(雑誌 ひらく)で、ジョージ・ワシントンがすべての人間は生まれながらにして平等である...との独立宣言を起草しながら奴隷主であったことに言及している。つまり、米国は最初から欺瞞であることを知っているのだ。でも、この『Z世代のアメリカ』ではこの歴史のことには全く触れていない。1619プロジェクトにも全く触れていない。もっぱら、対テロ戦争での米国の「弱体化」がZ世代に影響を与えるという仮説である。つまり、米国は最初から欺瞞であるとの歴史教育の効果は検討されていない。
▼ リベラル批判の視点
この本はトランプ大統領時代の施策がアメリカのZ世代において「アメリカ人であることを非常に誇り」に思わなくなったことへの影響は書いていない。あるいは、アメリカのZ世代のトランプ大超量への態度、見解、好悪も書いていない。
一方、トランプ大統領を生んだリベラルへの嫌悪。これはトランプ当選時米国で広く認められ、中道層での「隠れトランプ派」の発生もその一環だ。でも、本書では、リベラル批判は反リベラリズムの「右派」の所業で、プーチンとの共通性・親和性という属性で「悪魔化」されている。
▼ キャスティングボードを握るアメリカのZ世代
2020年の大統領選挙や2022年の中間選挙での民主党の勝利は、Z世代の投票行動の結果とのこと。共和党とトランプ忌避のグループが、アメリカのZ世代。
▼ 暗殺大統領・オバマ [google]
この本で確認したことは、オバマの暗殺大作戦。パキスタンでのドローンによる「テロリスト」殺害作戦で多数の民間人が死んでいるとのこと。そして、民間人が死んだ場合でも、欧米人とパキスタン人では対応や保障が違うこと。それを「アメリカのダブル・スタンダード」として本書では紹介している。
オバマ大統領初の無人機攻撃の犠牲者「私は無人機とは何かを示す生きた例だ」 ファヒーム・クレシ
バラク・オバマ大統領時代の対テロ秘密戦争では、前任のジョージ・W・ブッシュ大統領時代に比べて10倍の空爆が行われた。
なお、ダブル・スタンダードこそが米国の本質を示す。つまり、自分たちがやる殺害はテロでもジェノサイドでもない。確かに無辜が死ぬが、それは米国な高邁な理想実現のための犠牲である。一方、他国、他文明の無辜の殺害を伴う理想実現行動はテロリズムであり、遂行者はテロリストである。これは、ダブル・スタンダードではあるが、もっと適切は言葉で言えば、御都合主義である。米国=ダブル・スタンダードというより、米国=御都合主義。幼稚な自己中心性だ。
なぜ、アメリカのZ世代は、今さら、この米国の第一属性に気づいたのか?こういう問いを立てて、明確に答えているわけではない。ただし、2002年から始まって、20年続いた「テロとの戦い」戦争を挙げる。
▼ 白人優越主義への批判
三牧聖子『Z世代のアメリカ』では、米国に限らず、白人たちが白人優越主義を無意識にもっていることが、最近、自覚的に批判されていることを示す。具体的には、ウクライナ戦争での報道での問題;
CBSニュースの外国特派員のチャーリー・ダガタ氏は2月25日、ウクライナからのリポートで、「失礼ながら、ここウクライナはイラクやアフガニスタンのように何十年も紛争が続いている場所とは違います。比較的文明化し、ヨーロッパ的な都市で、今回のようなことが起こるとは予想もできないような場所です」と述べた。(ソース)
戦争や紛争はアジア、アフリカに特有のもので、白人たちの地域はそういう場所ではないし、そうあってはならないという無意識の白人たちが白人優越主義。
米国ではない例として、カナダはシリアからの難民に受け入れ人数の制限を設けていたが、今回のウクライナ危機ではウクライナ人の受け入れ人数には制限はない。無意識の白人たちが白人優越主義の例だ。三牧聖子『Z世代のアメリカ』で指摘されている。
もっとも、カナダは、原爆がヨーロッパの白人ではなく、日本人になされてよかったと日記に遺しているのは、カナダ首相のマッケンジー・キング(wiki)。マッケンジー・キングは戦時中のカナダ首相。したがって、カナダの日系人強制収容の責任者。なお、原爆の開発と行使について、米国は英国、カナダと「共同」で行っている。(愚記事より)
こういう、白人たちの無意識の白人優越主義が批判されるようになったのは、米国で非白人が半数を占めるZ世代が成人してきたからだ。半分の非白人は生まれてから白人からされてきたことの経験があるのだ。したがって、Z世代で、「アメリカ人であることを非常に誇りに思う」と回答したのは16%(なのか?)
▼ アメリカのZ世代の「神々」(?)
バーニー・サンダース [wiki]
アンジェラ・デイヴィス [wiki] ブラックパンサー党 [wiki]
バーバラ・リー [wiki] ラナ・アブデルハミド [google]
コーネル・ウエスト [wiki]
▼ アメリカのZ世代の対中認識
アメリカのZ世代の属性で特徴的なのは①祖国米国に誇りを感じられない;②パレスチナびいきとあと、対中宥和である。「米中は貿易や経済政策についても協力できない」と回答したZ世代は27%。65歳以上では51%なので、対中宥和的である。これを三牧はアメリカのZ世代はリアリズムをもっていると評してしいる。
でも、人権を尊ぶはずのアメリカのZ世代が人権抑圧、一党独裁の中国を経済的理由で容認するのであれば、これこそダブルスタンダード、つまり、御都合主義である。要は、アメリカのZ世代も本質的に米国人に違いないのだというのがおいらの見立てだ。
▼ 人種問題、あるいは、人道の普遍化
アメリカのZ世代はブラック・ライヴズ・マター [wiki] 運動で大きな役割を果たしたとされる。さらに、アメリカのZ世代はリスクであるとの認識もあるとのこと。リスク No.9 TikTok な Z 世代(ユーラシア・グループ 2023年10大リスク)。米国分断の一端でもあるらしい。
三牧聖子『Z世代のアメリカ』には明瞭に書かれていないが、アメリカのZ世代のブラック・ライヴズ・マターへの賛同は、世代の半分が非白人であることに起因するのだろう。さらに、本書では、イスラエルーパレスチナ問題に言及し、Z世代のパレスチナへの共感の拡大が書かれている。
▼ 現代米国の紅衛兵?
本書には書いていないが、Z世代学生によるキャンセル・カルチャーとして大学の講義における教授の「つるし上げ」がおこなれているとのこと。
「ソーシャルネイティブ」Z世代により社会現象として定着した「キャンセルカルチャー」(ソース)
▼ Z世代の国会議員
当選時25歳、アメリカ史上初のZ世代連邦議員マックスウェル・フロストの素顔
非白人。社会運動家というところが、Z世代の象徴か?
▼ 三牧聖子『Z世代のアメリカ』からの抜き書き;
20年超に及んだアメリカのアフガニスタン関与の失敗は、同国の歴史や、長い時間をかけて育まれてきた生活様式や価値観を尊重せず、西洋的な価値観と衝突するものはそのことをもって否定し、現地の人々と水平に向き合い協働する態度を欠いていたことの帰結であった。(p159 第5章 人類の普遍化を求めて)
アメリカ市民による議論の力、そして変革の力を深く信頼するからこそ、アメリカの誤った行いについて、とりわけ他国の人間の命を奪い、人々の人生を大きく変えてしまったような対外行動について徹底的に批判すべきだ、ということを教えてくれたのは、西崎文子先生だ。本書を読んでくださった読者の心の中に、私が西崎先生の著作を読んだ後に生まれるような、未来のアメリカへの期待が生まれることを切に願う。(p228 おわりに)
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