いか@ 筑豊境 寓 『看猫録』

Across a Death Valley with my own Distilled Resentment

芝居のような史実;その伝承経路:大奥大量解雇事件の例

2015年04月08日 22時56分37秒 | その他

歴史を題材に小説や劇をつくるとき、あまりに芝居ががった筋書などはさけられるだろう。なぜなら、あざといからである。でも、それが史実ならしばしば時代劇の定番シーンになる。

かつて愚記事(佐幕タンは語りうるか)に書いた;

■例えば、秀吉とおねの結婚の儀礼が足軽長屋でむしろをひいて質素に(貧相に?)行われたことは現在の通俗劇に不可欠な場面であるが、その根拠はおねが晩年、高台院として落飾しての隠居生活で侍女に語ったことをその侍女が伝え今日のわれわれが知ることができるのである。

■はたまた、政宗の小田原参陣で、秀吉から政宗の首を指揮棒でつつかれたか、叩かれたかした時、つまり、これまた現在の通俗劇に不可欠なあの場面におい て、まるで熱湯を首にかけられたような感じを政宗はしたと現在のわれわれは知ることが出来るのであるが、これまたこれも政宗が晩年に小姓に語ったことの伝 聞なのである。

これほどではないが、江戸時代、八代将軍吉宗の時代に大奥の美女大量解雇事件というのがある。 おいらは一度NHKの大河ドラマでみた記憶があった。最近、それが YouTubeでみれるとわかった(海賊版なんだろうけど)。それは、八代将軍吉宗 第26話、美女お断り、なのだ。

  
          それとは知らずエントリーに励む大奥女中

(前略)面白いエピソードがある。吉宗が周りの役人に命じた指令の一つに、大奥の女性の中から容姿端麗な者を書き上げよというものがあった。係りの役人が美女五十数名を書き上げて差し出したところ、吉宗は早速に、これらの者たちに暇を遣わせたというのである。
 つまりは大奥の経費節減なのであり、美女の者ならば大奥から解雇しても、売れ口には心配いらないであろうという意味のものであった。
 これはまるで御芝居のような話でもあるのだが、やはり事実なのである。吉宗の侍講である室鳩巣が、享保五年十一月二十九日付で弟子の青地礼幹たちにおくった書状の中に、このことが記されているのである。 (笠谷和比古、『徳川吉宗』)

八代将軍吉宗の時代に大奥の美女大量解雇事件は「徳川実記」にでているわけでもなく、こういう当時の人の伝聞に記録されているのだ。

  ⇒室 鳩巣(むろ きゅうそう) Wikipedia

■ このドラマには土屋政も出てる。YouTubeで(約)20年ぶりでみた。

そうしたら、おいらが昔みたはずのNHK大河ドラマ「八代将軍吉宗」でのこの場面にも、土屋政直がいたらしい。土屋政直を演じていたのが、名古屋章とのこと。 (愚記事; 土浦城