alternativeway

パリ、カフェ、子育て、サードプレイス、
新たな時代を感じるものなどに関して
徒然なるままに自分の想いを綴っています。

温度差

2012年01月20日 | 福島見聞録


 福島で沢山の人と話してるうち、だんだんと
首都圏の人たちの状況って実はかなりやばいんじゃ、、、
と思っていった。そんな時思い出したことがある。
忘れもしない クリスマス前、友人がやりはじめたカフェで
予想以上に昔一緒に活動をしていた友人たちが集まっていて
そのとき話題にあがった人がいた。

 「そういえば、Aさんは最近どうしてる?」
「ああ彼は大阪に行ったらしいよ」
「へーなんで?」(この時私は仕事 もしくは
結婚でという返答が返ってくるものだと思って待っていた
というのもちょっとそれを知っていたから)

「なんか どうもね 避難したらしいんだよね
僕の理解によればね。ブログを読んだ感じではそう理解してるんだけど」
「へー、、、(一同返す言葉がない)」


 そして微妙な沈黙があり そこには10人くらい居たというのに
彼らはかつて環境系の活動をしていた仲間だったわけなのだけど
そこにははっきりいって「どういうこと?理解できない、、」
というような空気と沈黙が漂っていて 誰一人その後話題を
続けなかった。そうして話題は次の話に変わっていった。


 かくいう私もその時は「は?避難??東京にいる人が大阪に?」と
思って理解ができなかった。おそらく私の感覚によれば
そこに居た人たちもちょっと「大丈夫?」と思ったことだろう。
ところが多分、大阪に行った彼の視点からすると(今になって思ってみると)
「あんたたちのほうが大丈夫かよ!」ときっと思っているのだろう。


 私は福島で沢山の人と話をしながら驚いたのは
彼女たちやまわりの人たちがかなりさらっと「内部被爆」という
言葉を使うことだった。「今は空気中の放射線量はそんなにたいしたことはないの
次は内部被爆に気をつけないと!」そんな言葉をよく耳にした。


 それまでは 私にとって「内部被爆」という言葉 は
あまりに重くて ちょっとタブーのような存在だった。
だけど彼らはけっこうさらりと語ってくれた。それほどまでに
今福島に住んでいる人たちにとって(全ての人ではないにせよ)
「内部被爆が危ない」というのは かなり「常識的」なことらしい。
そしてそれらに気を使っている人たちというのはだいたい
岩手より北くらいか 愛知県より南くらいの野菜を買って
魚も肉も相当食べないようにしているし、もっと気にする人は
信頼のおけるネットショップで毎日の食材を購入している。
だから外食でもしないかぎりは(あと給食以外?)
食べ物についてはけっこう自信がありそうだ。


 それに比べて首都圏ののんきさと言ったら?私は福島に行って
2日目くらいから大丈夫かな?と思い始め、最後の方で
検査する機会があって ショックではあったけれども
まあやっぱりなという気がしないわけでもなかった。
そうじゃなければ 彼女たちの話をきいて「実は首都圏の
人たちが危ないのでは」と思うこともなかっただろう。


 ところが首都圏にはよくわからないけど
「まあここは東京だから大丈夫」みたいなムードがあって
この半年間、行ったカフェでもどこでも放射能に対する
話題を一切耳にしたことがない。それに加えて私は
この半年やたらと手続きがあったので、普通の人より
相当役所に通った方だと思うのだけれど 一切放射能に関する文字は
見たことがない。さて、それは思い違い?と思って
今日息子の検診が保健所であったので聞いてみた。
「あの すみません この尿検査って セシウムとかも
計れるんですか?」「いやーこれはそういう検査じゃないですね」

「あのすみません 横浜市とか青葉区で放射能関係の
検査ができるところってありますか?尿検査とか、、、」
と保健所できいてみたのに 「いや特にありません」とのことだった。
ありませんって、、、 大学病院とか行ったらやってもらえるかも
しれませんけど と言われたけれど 福島市にも
ほんのちょっとしかホールボディカウンターはないわけで
もちろんそんなのに接する機会は首都圏の人は圧倒的にない。
(最近民間で設置したところがあるらしいけど どうも
1万2千円くらい必要らしい)食品の測定だとか
尿検査とか もっと首都圏でしっかりやるべきなんじゃないだろうか?

 おそらくこれは私だけじゃなく 福島の現状と チェルノブイリを
よく知っている人ならば 私の身体からもセシウムが検出されたというのは
「まあ やっぱりね」という感じだろうなと思う。
(お医者さんとかよく知ってそうな人にそういう話をしたとき
表情は決して驚きの顔ではなくて「やはり遂にきたか」みたいな
表情にみえた)なのにここまでイノセントであるということ
(無関心であるということは知らずにどんどん蓄積し続けるということ
ちなみに私は牛乳はほとんど飲んでなかったし、福島で今
勧められている和食派(といっても玄米じゃないしお魚は
よく食べていた)だったのだけど。。。ちなみにリンゴも朝よく食べていた)

 今日お話をした保健所の人は「ああそうですか
あなた京都から来られたんですね 京都の方が横浜より遠いから
気にされるんですね、、、」とかなり他人事みたいに言っていた。
そう その反応は 私たちがクリスマス前に「はあ?」と
いう反応を示したのと ほとんど同じようなものだった。



 私は10日間 福島に関する事を朝から晩まで沢山の人から聞いていて
ものすごい情報を密に詰め込まれたわけだけど そんな私が
見聞きした情報から判断すると 東京はこれから大変なことになると思う。
それでもみんなが放射能について今と同程度の無関心さであったなら
多分いろんな症状なんかが現れて来ても「ちょっと調子が悪いなあ
働き過ぎかなあ?」くらいで終わるだろう。最近やたらまわりに
調子の悪い人がいるけれど インフルエンザのせいかしら とか
そんな程度になるのだろうから 心配なんて しない方が
やっぱりいいのかもしれない。変に意識をしはじめる と
元の生活を続ける事がきっとできなくなってくるから。


 それでもそうはいっても せめて行政機関が安い値段で
放射能に関する内部被爆をチェックできたり 食品の測定を
できるような場所はつくるべきだと思う。それからそれに対して
どう対処していったらいいのか 少しでも相談できる窓口を
行政でつくるべきだと思う。区の保健所にそんなことを相談しに言って
「はあ?」と言われるのはやっぱりおかしい。福島でお母さんたちが
抱えていた不安というのは これからどんどんいろんなところに
広まって行くと思うから。お金持ちしか検査ができない
大学病院に行けるような人しか本当のことが知れないというのは
やっぱりおかしいことだと思う。


 いつの日か 2年後くらいに 東京の素敵なカフェに
野菜のベクレル表示がされる日 というのが来るのだろうか
そんな日が来るような気がするけれど まずはもっと
首都圏で被爆について 放射能について気軽に相談できるような場が
少しずつでも増えてほしい。

(ちなみに福島市でも放射能に関することについて包括的に
相談できるような窓口はありません。対策本部というのが
設置されたのでそこの人にお話をきいてみたら「除染!!」一色でした。
市は12月に一般の人むけの食品の放射線測定所をつくったとのこと。
それまではNPOの市民測定所に行って計るのが一般的だったそうです。
2月からは3歳未満の子供たちから、全ての市民がホールボディカウンターで
内部被爆を計るようになるそうです。とはいえ基本的には市も県も
「大丈夫、問題ありません、気にしすぎが一番よくない」というスタンスです。
それなのにこれから子供と妊婦には40万円、大人には8万円のお金を
払う計画があるそうです。普通子供というのは大人の半額とか
大人より少ないものなのに、5倍のお金を出す、というのは
私には「口止め料」というか「今後どんなことがあるかわからないけど
これだけ払ったんだからよしと思え」と言われているようにしか思えません
ガラスバッチとかつけて登校させて、こういうお金の払い方をするんだったら
一時的にでも大規模な避難を促した方がいいと私は思います)


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