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日本人にとっての北京語と広東語

2006年05月26日 23時20分49秒 | ××語

 日本に住む日本人で、ちょっと聞いただけで北京語と広東語の区別がつく人は少ないかもしれない。香港映画が好きな人は、広東語にピンとくるかな。台湾など華流ドラマにはまっている人は、北京語かそうでないかはすぐわかるだろう。
 中国語圏に留学した人はもちろん、働いている/いた人の多くは、仕事で必要なことが多いので北京語を学んでいる。ついていった奥さんも、できないと不便なので日常会話くらいはできるようになって帰ってくる。一方、香港は一応英語も通じるし、必要なら漢字で書いて見せればいいので、働く人も奥さんも、必ずしも広東語を勉強しない。英領のころは英連邦の人がビザなしで住んでたので、安く気軽にできる英語の個人レッスンをやる人も多かった。中国返還が決まっていて、将来は北京語のほうが役に立つだろうと、大学でわざわざ北京語を学ぶ人もいるくらいだ。
 それでも、広東語を勉強する人もそれなりにいる。仕事で必要な人もいるし、せっかく住んでいるのだから住んでいるところの言葉を学び、地元の人とコミュニケーションしてみたいということもある。簡単な広東語を買い物で使ったら通じて楽しかったとか、飲茶でうまく注文したいとか、奥さんたちの動機はそんなところだ。3ヶ月か6ヶ月真面目にやると、買い物くらいはスムーズにできるようになるようだ。
 香港以外に中華圏に住んだことがなく、香港に住んで初めて広東語を学ぶ人は、一般的に北京語の知識はない。教室では発音の基本と、すぐ役に立つ会話をまず教えるから、新聞や雑誌、小説などを読んだり、テレビやラジオのニュースを聞いたりする授業もほとんどない(あるとしたら大学の広東語コースで中級以上だろう)。ある程度習うと日常会話はできるようになるが、標識に書いてある中文、新聞の見出し、流行歌の歌詞などは、なんだかよくわからない―ということになる。広東語の辞書で調べようとしても載ってなかったりするし。そんな人は、なぜか中文の広東語読みで話しかけてくる香港人に「・・・普通の(習ったのと同じ)広東語で、ゆっくり話して~」と言いたくなるわけだ。初めて学ぶ日本人にとっては、発音も語彙も、広東語と北京語は全く別の言語。広東語しか知らなかったら、いくら広東語発音で言われても、北京語の語彙は見当がつかない。。。ということが、なかなか香港人には理解してもらえないみたい。。。
 一方、香港に住む前に台湾や大陸に住んだことがあり、北京語がある程度できる人たちにとって、広東語はなぜだか覚えにくい言語らしい。「1・2・3が『やっ・いー・さーむ』でしょ、2が『いー』っていうのがね~」北京語では1が『いー』なので気持ちはわかるけど、声調が全然違うのに・・・。「声調が6種類もあって覚えられない」「なんか音がきたない」「うるさい、騒々しい」という意見もよく聞く。最近は香港で北京語が通じることが多くなったので、わざわざ広東語を勉強することなく北京語で通している人も多い。うちのつれあいもその口で、「広東語は地方言語にしないとダメだ」などと言う。彼らにすると、返還されたのだから早急に香港も北京語を公用語にするべきで、北京語が広東語より上位なのは当然ということなのだろう。そうはいっても、一地域の言語を変えるというのはなかなか難しい。一国二制度の“五十年不変”ではないが、香港人がみんな北京語を話せるようになるには、やはり数十年かかると思う。
 私はといえば、台湾に転勤するつれあいに帯同する予定で北京語をかじったが、妊娠したので単身赴任してもらい、出産後に香港に住んで広東語を習い、のちに北京に住んで北京語を勉強し、また香港で広東語をやっていた。正直、習い始めたころは北京語が好きじゃなかった。香港で広東語を覚えたり中華ポップスを聴いてたらなんとなく“中文”に慣れ、おかげで北京で北京語の世界に放り込まれた時、以前よりは嫌いじゃなくなっていた。どっちが好きかときかれたら、断然、広東語。元気がいいリズムが私に合っていて、一言もわからないときから聞いていて楽しかった。
 日本で学ぶチャンスが多いのは北京語だけど、広東語も教室があることはある。また習いに行きたい・・・なんて言うと、「あれだけ勉強してまだできるようになってないのか~、なんて無駄な」とつれあいに言われるんだよな、、、

コメント
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