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鄭中基(ロナルド・チェン)「正宗K」(香港)

2006年05月01日 16時40分02秒 | CD紹介

 まだコンサートの余韻に浸っている私。あらためて鄭中基(ロナルド・チェン)という歌手を見直しつつ、この新曲+精選3枚組を聴いている。あえて時系列に曲を並べていない。にもかかわらず、「これはデビュー間もないころの曲」「これは例の事件前後の曲」「これは最近」とすぐわかってしまう^^; それは私が特別なファンだからではなくて、彼の歩みが曲調や歌い方に表れてるからだろう。
 香港在住の友人が「鄭中基の曲って、『無頼』以外はよく知らない」と言ってたが、無理ないと思う。私もコンサートの間「この曲って何だったっけ」と思いながら聴いていた。大ヒットが少ないので、曲と曲名が一致しない^^; けれどもCDで聴くと、佳作といえる曲がたくさんあることがわかる。
 Disc1とDisc2は広東語、Disc3は北京語曲を収録。1と2には去年の「Before After」から8曲も入れている。「無頼」以外にもいい曲が多くて、本人も気に入ってるんだろう。平井堅「瞳を閉じて」のカバーもその一つ。今や喜劇映画主演俳優でもあるので、映画の主題歌も多い。ビージーズ風の「Beautiful People」(「我要做Model」主題歌)なんかは笑えるが、ファルセットで歌いきってるのは偉い。香港のCMでよくある若手歌手数人共演の曲「火紅火熱」も、もしかして当時の彼女?の楊千[女華](ミリアム・ヨン)・何韻詩(デニス・ホー)・梁漢文(エドモンド・リョン)とカッコよく歌っている。自作曲も多いが、胡彦斌(アンソン・フー)、彭海桐(ウク・パン)、陶(デビッド・タオ)など意外な人の曲もある。LMFのDavyの曲は、だら~んとした感じが面白いラップ「基哥、基哥」。バンドサウンド系の曲は、ちょっと陳奕迅(イーソン・チャン)っぽいかも。
 Disc3の北京語曲は、正統派台湾バラードが多い。特にデビュー当時の曲は声が伸びやかで美しい。ちょっと張學友(ジャッキー・チョン)めざしてる?感じ。プロデューサーも歐丁玉だから、そういうつもりで育ててたのかもしれない。が、なまじ似ていたのでかえって飽きられたのでは・・・。意外というべきか納得というべきか、北京語アルバムは02年の新曲+精選「Encore」を最後に出ていない。
 コンサートレポに書いたように、頑張っても張學友になれないとわかったとき、自分のスタイルの模索が始まり、自分のスタイルが見つかったとき、代表曲と呼べる曲が生まれたのだろう。豊かな声にまかせてガンガン歌っていた時期、バンド系でわざとつぶして歌っていた時期を過ぎて、説得力のある静かな歌い方に落ち着いた。やや母音が狭いが、入声がクリアで、~nと~ng、長母音と短母音の区別がわかりやすい広東語の発音。北京語もネイティブでないのは明白だが、そのままピンインに起こせそうな安定した発音だ。
 歌詞を見ると、工夫は凝らしてあるがわかりやすい。設定やシチュエーションが不明ということはなく、ストーリーやシーンがちゃんと見える。歌詞の制作に本人がどの程度関与しているかわからないが、これも彼の音楽性の一部という気がする。
 私が彼を初めて見たのはNHKBS「アジアLive」で、「相思無用」を歌ってた。その後帰国したので、97年の広東語デビューの時はどの曲がどのくらい売れたのかよく知らなかったが、「搬屋」という曲が好きだった。調べてみたら、北京語2ndアルバム「別愛我」(96年)に北京語版「除非イ尓要我」と共に収録されていた。おそらく、一番最初に録音した広東語曲なんだろう。コンサートでこの曲を歌った時、一瞬目頭を押さえていた。
 ひとつの集大成となった3枚組だが、私としては譚永麟(アラン・タム)トリビュート「誰可改變」収録の「最愛的イ尓」を入れてほしかった。スイングジャズのアレンジで、すっごくいい感じに歌ってるのだ。・・・次回作はジャズ系なんか、やってみない?
正宗K @YesAsia.com

コメント (2)
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