語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【震災】原発>広島原爆29.6個分の放射性物質 ~児玉演説~

2011年08月16日 | 震災・原発事故
 7月27日、衆議院厚生労働委員会は震駭した。参考人の児玉龍彦・東京大学アイソトープ総合センター長が16分間にわたり、政府の放射線対策を痛烈に批判したからだ。
 さしあたって健康に問題はない、どころではない、大変なことになる・・・・。
 福島原発の総量を東電と政府ははっきりと報告していない【注1】・・・・。
 7万人が自宅を離れてさまよっているときに、国会は一体何をやっているのか・・・・。
 この模様が「YouTube」などにアップロードされると、ツイッターやSNSを通じて瞬く間に伝播し、8月10日までに40万回以上視聴された【注2】。

 委員会で児玉教授が明らかにした事実は、聞く者に衝撃を与えた。
 (a)福島第一原発から漏出した放射線の総量・・・・熱量として広島原爆の29.6個分、ウラン換算で20個分だ。さらに残像量は、原爆が1年後に1,000分の1に低下するのに対し、原発の汚染物は10分の1程度しかならない【注3】。
 (b)遺伝子レベルで見た放射性物質の危険性・・・・甲状腺に集まるヨウ素131、膀胱に集まるセシウムだけでない【注4】。トロトラストは、造影剤として使った結果、20~30年後には肝臓ガンを25~30%の確立で発症させる。
 (c)放射性物質と健康被害・・・・20~30年を経て因果関係が証明されるものが多い。統計学の視点で判断するのは、子どもたちを守る観点に立ってない。
 
 児玉教授は、5月下旬から毎週末のように南相馬市を訪れ、幼稚園などで除染活動を行っている【注5】。
 除染した高線量の土を現地に残すわけにはいかないから、「法律違反」【注6】だが、東京へ持ち帰っている、と児玉教授は委員会で公言した。子どもの被曝を減少させる法律の制定が必要だ、「子どもに渡す日本の国土を守ってほしい」。【注7】
 8月6日、南相馬市とアイソトープ総合センターは、共同で警戒区域以外の市内全域を除染する、と発表した。

 【注1】専門家が放射線障害をみる時は、放射線総量をみる。【記事「居並ぶ国会議員を硬直させた児玉龍彦東大教授の魂の叫び」、「週間朝日」2011年8月19日号】
 【注2】再生回数は、数日間で20万を突破した。【前掲誌】 ⇒児玉演説の<動画><テキスト版>
 【注3】半減期30年のセシウムが原爆に比べて大量に放出されるからだ。【大場弘博(本誌)「セシウムが引き起こす『膀胱がん』」、「サンデー毎日」2011年8月21・28日号】
 【注4】児玉演説は「チェルノブイリ膀胱炎」に触れている。内部被曝が発症させるのだが、国はICRPの見解に依拠して内部被曝の影響を軽視している。【前掲「サンデー毎日」誌】
 【注5】少なくとも7回訪れている。【前掲「週間朝日」誌】
 【注6】「放射線同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」では、各施設で扱える放射線量、核種等が定められている。南相馬市の多くの施設は、セシウムの使用権限なぞ持っていない。車で運搬するのも違反だ。しかし、母親たちに高線量のものを渡してくるわけにはいかないから、ドラム缶に詰めて東京に持ち帰った、と児玉教授はいう。【前掲「週間朝日」誌】
 【注7】どこの党が議員立法などで迅速に動くか、国民は注視すべきだ、と児玉教授は語る。【前掲「週間朝日」誌】

 以上、井上和典(編集部)「『広島原発の29.6個分』」(「AERA」2011年8月22日号)に拠る。
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