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語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【震災】原発>経産官僚の暗躍 ~原発戦犯たちの懲りない所業~

2011年09月13日 | 震災・原発事故
 50年間で68人のOBが天下るなど電力会社と根深い癒着関係を築いた経産省が、事もあろうに事故対応やエネルギー政策の見直しをリードしようとしている。

(1)偽装更迭人事
 事務次官、資源エネルギー庁長官、原子力安全・保安院長の「更迭」は役人が決めた人事だ【注】。

(2)東電救済スキーム
 松永・事務次官(当時)は、3月下旬、奥正之・三井住友銀行頭取/全国銀行協会会長と密談し、東電への2兆円の緊急融資を引き出した。また、子飼いの北川慎介・総括審議官/「原子力発電所事故による経済被害対応室」長らを使って、損害賠償スキーム作りの陣頭指揮も執った。
 他方、「古賀ペーパー」は握りつぶした。
 (a)損害賠償スキームには、菅首相(当時)が表明した自然エネルギーへの転換を阻止する仕掛けが組みこまれていた。東電の利益から賠償金を捻出する仕組みなので、利益の源泉たる地域独占体制や送電網・発電施設が温存されることになったのだ。自然エネルギー拡大に効果がある発送電分離をしようとしても、東電の利益が減って賠償金の返済が滞る事態を招くからだ。時の政権のトップが打ち出した方針を、経産官僚が骨抜きにしたわけだ。
 (b)原子力損害賠償機構法案は、自公民の修正協議でさらに改悪された。①賠償機構に税金を投入する道が追加された。②「政府の責任」が入り、賠償金支払いだけではなく、東電が原発を推進する費用も払える道を新たに開拓した。・・・・自公民の「密室談義」において、「機構法案において、修正が許されないポイント」と題する文書を経産官僚が作成し、修正協議を担当した西村康稔・衆議委員議員(旧通産省出身)/経産委員会自民党筆頭理事に根回しをした(疑惑)。

(3)新エネルギー政策の官僚主導
 エネルギー政策の見直しは必至とみた松永・事務次官(当時)は、4月28日に「今後のエネルギー政策に関する有識者会議」(エネルギー政策賢人会議)を設置。立花隆、寺島実郎ら多忙な著名人をメンバーに選んで、議事進行を事務局の官僚が仕切ろうとした。
 しかし、菅首相(当時)は、「賢人会議」をエネルギー政策の議論の場にすることを了承しなかった。
 すると、国家戦略室に出向しているエネルギー政策担当の経産官僚を使って、「エネルギー・環境会議」を立ち上げ、経産色を消し、官邸主導を全面に押し出し、超多忙の大臣や副大臣をメンバーにして、出向組の経産官僚が事務局として仕切る、という常套手段を採った。事務局が作った素案から菅首相(当時)が検討を表明した「送発電分離」(東電解体)を外し、安全性強化とセットにして原発推進を盛りこむ、という工作も仕掛けた。
 しかし、これにも菅首相(当時)が異論を唱え、その結果、発送電分離が議論の対象となり、経産省から原子力安全・保安院を分離する項目が押し込まれた。
 官僚主導は困難、とみた経産官僚は、菅政権打倒に動いた。原発推進に二人三脚を組んできた自民党に、福島第一原発への海水注入を中断するよう首相が指示したという偽情報を提供し、早期退陣寸前へ追いこむ片棒を担いだ。

(4)玄海原発
 経産省は、夏が近づくにつれて、読売新聞、産経新聞と連携しながら、電力需要逼迫キャンペーンを始めた。 
 原発再稼働の試金石となった玄海原発をめぐって、「経済産業省のあやつり人形」海江田万里・経産相(当時)は安全のお墨付きを出した。
 経産省は、6月26日、佐賀市内で原発の安全対策などについて住民説明会を開いた。説明会に参加した県民は、経産省が地元広告代理店に依頼して選んだ7人で、説明会の模様はケーブルテレビやインターネットで中継されたものの、会場は非公開で、報道関係者の取材も許可しなかった。
 玄海原発の再稼働は、菅首相(当時)によるストレステストの実施表明に加えて、古川康・佐賀県知事が発端となったやらせメールの発覚、古川と九州電力との癒着が次々に明るみに出て、凍結された。 

 【注】退職金は、自己都合の場合は2割減額されるが、松永和夫、細野哲弘、寺坂信昭は「勧奨退職」扱いとなった。【記事「更迭経産3首脳、退職金規定通り…6000万~8000万円」(2011年月日 YOMIURI ONLINE)。】

 以上、横田一(ジャーナリスト)「蠢く経産省官僚 ~原発戦犯たちの懲りない所業~」(「世界」2011年10月号)に拠る。
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