語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【詩歌】村上昭夫「シリウスが見える」

2015年05月26日 | 詩歌
 見えていたものが嘘のように見えなくなってくると
 シリウスが見える

 空なら川も流れていように
 川ならば水草も映っていように
 天ならどほっと暗いばかり
 暗い闇の闇のなかの
 残されたひとつのもののように
 シリウスが見える

 残されたもののたしかさを信ずると
 ひとり目覚めていると
 シリウスが見える

 ただしいことはやはりただしいのだと
 叫ぶことになぜ苦しんだりするのか
 シリウスが見えてくると
 私のなかにもなお
 シリウスがあるのだと思う

 始めて光を見た時のおののきで
 シリウスが見える

□村上昭夫「シリウスが見える」(『動物哀歌』、1967【第18回H氏賞】)
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 【参考】
【詩歌】村上昭夫「賢治の星」 ~ふたごの星~




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