語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【佐藤優】本書は人生が苦しい原因の6割を解明する ~いま生きる「資本論」(9)~

2018年06月08日 | ●佐藤優
 <安倍政権は、究極のポピュリスト政権で、世論調査の数値が政権の安定度に直結する。そして、世論調査の支持率は、株価と連動している。そうなると、政治について知るためにも、経済の知識が不可欠になる。
 本書で、私が試みたのは、マネー(貨幣)、株価、賃金などについて、存在論(現象面にとらわれず根源的に考えること)の次元から、読者ひとりひとりの役に立つ生きた知識を提供することだ。それだから『いま生きる「資本論」』というタイトルをつけた。
 (中略)古典(クラシックス)と認知されているテキストは、危機の時代を読み解き、その解決策を見出すために、とても役に立つ。それだから、これらの作品は、長い時間を経ても生き残っているのだ。
 『資本論』もそのような古典の一冊である。ここで重要なのは、『資本論』をソ連や東ドイツなどの歴史的に存在した社会主義国、現実に存在する中国、北朝鮮、キューバ、ベトナムといった社会主義国の現実と完全に切り離して、「論理の書」として読むことだ。革命が好きな共産党、新左翼、旧社会党左派の人々のイデオロギー的な『資本論』の読み解きとも一線を画す。この本で、私は『資本論』を資本主義社会の内在的論理を解明した書として読むことにした。
 (中略)私たちにとって重要なのは、なぜ日本の社会で私たちが生きにくくなっているのか、それは読者の努力が足りないからではなく、資本主義というシステムに根源的問題があるという現実を総合知(科学)を駆使した理論によって理解してもらうことだ。
 この本を読むと、あなたの人生がどうして苦しいのかについて、その原因の六割が解明されると思う。原因がわかれば、解決に向けた現実的戦略を構築することができる。> 

□佐藤優『いま生きる「資本論」』(新潮社、2014)の「まえがき」から一部引用

 【参考】
【佐藤優】宇野経済学の面白さ ~いま生きる「資本論」(8)~
【佐藤優】自分の周りでできること二つ・補遺 ~いま生きる「資本論」(7)~
【佐藤優】自分の周りでできること二つ ~いま生きる「資本論」(6)~
【佐藤優】報酬と賃金は違う ~いま生きる「資本論」(5)~
【佐藤優】剰余価値の作り方:労働時間延長と労働強化 ~いま生きる「資本論」(4)~
【佐藤優】制約条件をわかった上でやる、突き放して見る ~いま生きる「資本論」(3)~
【佐藤優】アベノミクスとファシズム ~いま生きる「資本論」(2)~
【佐藤優】親の収入・学歴と、子どもの学力の関係 ~いま生きる「資本論」(1)~

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