語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

新刊書一読:『日本の論点2010』 ~村民の平均年収2,500万円~

2010年06月08日 | 批評・思想
 本書には、「変わる価値観」から「スポーツ」までの26のテーマのもとに、全85編の論考が収録されている。
 たとえば、「論点40」は地方活性化を主題に、長野県川上村の農業および行政について村長が報告する。すなわち・・・・
 川上村のレタス生産量は日本一であり、野菜売り上げ額は年間約150億円。これを村内農家約600戸でならすと、一戸あたり2,500万円になる。
 川上村は、役場の標高が1,185メートル(日本一の高所)、年平均気温8度の高冷地である。農家の年齢構成は若く、耕作放棄地はほとんどない。かつては村民は年に8か月も出稼ぎに出ていたが、朝鮮戦争(1950年)のとき選ばれて米軍向けのレタスを生産開始。以後、農家、農協、行政が一丸となって取り組んだ。高度成長期には国民の食生活が洋風化し、国内需要も伸びた。2006年からはブランド確立(プロ野球のスポンサーになる、など)と輸出(台湾や香港)にちからを入れ、農業経営の安定化を図っている。

 「行政は、主権が存する住民の意識レベル以上のことはできない。ならば、住民の意識レベルを上げていくまでである」
 かくて、村営CATVを導入し、廃止された民間の路線バスを村営に移管した(黒字になった)。「やって見せて理解を得る。そうすると住民の意識レベルが上がる」・・・・成功が意識レベル向上に寄与したのである。そして、そのくり返しであった。
 意向調査によれば云々などと言うが、住民の平均的な考え方どおり行政をおこなうなら、それ以上のことはできない。「つねに刺激や感動を生み出し、住民に提供することが、住民の活力につながる」
 「行政は、税金をモノやサービスに変える仕事である」

□文藝春秋編『日本の論点2010』(文藝春秋、2010.1)
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