語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【原発】尾瀬は滅びるか ~維持費減額と「風評被害」~

2012年06月11日 | 震災・原発事故
 尾瀬国立公園は、福島県、群馬県、新潟県、栃木県の4県にまたがる。そのうち4割の16,000ヘクタールを東京電力が保有する。
 公園内には、厳しい規制がかけられた特別保護区があり、そのうち東電の保有地は7割にも達する。
 東電は、今年3月まで、自社保有地内の木道、トイレの維持管理に2億円、パトロールや倒木処理などの委託事業に2億円、計4億円を毎年、尾瀬の環境保全のため拠出してきた。
 が、この費用は今年度、木道の整備が縮小されるなど、減額される見込みだ(減額幅未定)。

 戦前、東電の前身は、尾瀬ヶ原と尾瀬沼それぞれに巨大ダムを建設しようとして、一帯の土地を購入した。だが、尾瀬が国立公園に指定されると同時に、群馬と福島の間で水利権問題がこじれ、結局この大規模開発計画は頓挫した。
 東電にとって尾瀬は、不良債権に転じるところだった。が、環境意識の高揚を背景に、東電は“エコ企業”としてアピールするため尾瀬を活用した。
 売上高5兆円超の企業にとって、尾瀬の維持管理費など取るに足らない。しかも、広告と水力などの発電事業に使えるのだ。

 しかし、原発事故で事情は一変した。
 尾瀬一帯にも放射性物質が降下した。
 東電は広告を打てない。

 入山者の安全確保や植生維持管理など最低限のことは続ける。【東電広報】
 東電から、今年も尾瀬を例年どおり保全する、と報告を受けている。特に問題はない。【環境省関東地方環境事務所】

 たしかに、目に見える部分は保全されている。木道整備、植生回復など。昨年7月、尾瀬を襲った記録的な大雨のときも、いち早く木道を改修した。
 しかし、目に付かない部分への対策は後回しにされている。湿原内パトロール、植林事業など。
 これから影響が出てくるだろう。【尾瀬保護財団山の鼻ビジターセンター】

 すでに影響は出始めている。福島県が管轄する一部の木道は、朽ち果てたままだ。。環境被害も目立ちはじめた。木道付近は鹿と熊の踏みあとだらけだ。鹿のミズバショウへの食害も広がっている。このままでは、かつての尾瀬アヤメ平のような植生破壊も起こり得る。
 尾瀬に放射能を降らせた東電にそのすべての責任がある。いまでも放射能の「風評被害」が広がり、地元は踏んだり蹴ったり。対策費を増やしてしかるべきところを、逆に削るとは。【地元の観光業者】
 入山者は減ったが、昨年も30万人が尾瀬を訪れた。地元では放射線量を公表して火消しにやっきになっているが、「風評被害」は今も続いている。

 以上、小田光康(編集部)「尾瀬の自然守れるのか」(「AERA」2012年6月11日号)に拠る。
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン


コメント   この記事についてブログを書く
« 【原発】福島県民、東京電力... | トップ | 【原発】原発は「安全」にな... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

震災・原発事故」カテゴリの最新記事

関連するみんなの記事