尾瀬国立公園は、福島県、群馬県、新潟県、栃木県の4県にまたがる。そのうち4割の16,000ヘクタールを東京電力が保有する。
公園内には、厳しい規制がかけられた特別保護区があり、そのうち東電の保有地は7割にも達する。
東電は、今年3月まで、自社保有地内の木道、トイレの維持管理に2億円、パトロールや倒木処理などの委託事業に2億円、計4億円を毎年、尾瀬の環境保全のため拠出してきた。
が、この費用は今年度、木道の整備が縮小されるなど、減額される見込みだ(減額幅未定)。
戦前、東電の前身は、尾瀬ヶ原と尾瀬沼それぞれに巨大ダムを建設しようとして、一帯の土地を購入した。だが、尾瀬が国立公園に指定されると同時に、群馬と福島の間で水利権問題がこじれ、結局この大規模開発計画は頓挫した。
東電にとって尾瀬は、不良債権に転じるところだった。が、環境意識の高揚を背景に、東電は“エコ企業”としてアピールするため尾瀬を活用した。
売上高5兆円超の企業にとって、尾瀬の維持管理費など取るに足らない。しかも、広告と水力などの発電事業に使えるのだ。
しかし、原発事故で事情は一変した。
尾瀬一帯にも放射性物質が降下した。
東電は広告を打てない。
入山者の安全確保や植生維持管理など最低限のことは続ける。【東電広報】
東電から、今年も尾瀬を例年どおり保全する、と報告を受けている。特に問題はない。【環境省関東地方環境事務所】
たしかに、目に見える部分は保全されている。木道整備、植生回復など。昨年7月、尾瀬を襲った記録的な大雨のときも、いち早く木道を改修した。
しかし、目に付かない部分への対策は後回しにされている。湿原内パトロール、植林事業など。
これから影響が出てくるだろう。【尾瀬保護財団山の鼻ビジターセンター】
すでに影響は出始めている。福島県が管轄する一部の木道は、朽ち果てたままだ。。環境被害も目立ちはじめた。木道付近は鹿と熊の踏みあとだらけだ。鹿のミズバショウへの食害も広がっている。このままでは、かつての尾瀬アヤメ平のような植生破壊も起こり得る。
尾瀬に放射能を降らせた東電にそのすべての責任がある。いまでも放射能の「風評被害」が広がり、地元は踏んだり蹴ったり。対策費を増やしてしかるべきところを、逆に削るとは。【地元の観光業者】
入山者は減ったが、昨年も30万人が尾瀬を訪れた。地元では放射線量を公表して火消しにやっきになっているが、「風評被害」は今も続いている。
以上、小田光康(編集部)「尾瀬の自然守れるのか」(「AERA」2012年6月11日号)に拠る。
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公園内には、厳しい規制がかけられた特別保護区があり、そのうち東電の保有地は7割にも達する。
東電は、今年3月まで、自社保有地内の木道、トイレの維持管理に2億円、パトロールや倒木処理などの委託事業に2億円、計4億円を毎年、尾瀬の環境保全のため拠出してきた。
が、この費用は今年度、木道の整備が縮小されるなど、減額される見込みだ(減額幅未定)。
戦前、東電の前身は、尾瀬ヶ原と尾瀬沼それぞれに巨大ダムを建設しようとして、一帯の土地を購入した。だが、尾瀬が国立公園に指定されると同時に、群馬と福島の間で水利権問題がこじれ、結局この大規模開発計画は頓挫した。
東電にとって尾瀬は、不良債権に転じるところだった。が、環境意識の高揚を背景に、東電は“エコ企業”としてアピールするため尾瀬を活用した。
売上高5兆円超の企業にとって、尾瀬の維持管理費など取るに足らない。しかも、広告と水力などの発電事業に使えるのだ。
しかし、原発事故で事情は一変した。
尾瀬一帯にも放射性物質が降下した。
東電は広告を打てない。
入山者の安全確保や植生維持管理など最低限のことは続ける。【東電広報】
東電から、今年も尾瀬を例年どおり保全する、と報告を受けている。特に問題はない。【環境省関東地方環境事務所】
たしかに、目に見える部分は保全されている。木道整備、植生回復など。昨年7月、尾瀬を襲った記録的な大雨のときも、いち早く木道を改修した。
しかし、目に付かない部分への対策は後回しにされている。湿原内パトロール、植林事業など。
これから影響が出てくるだろう。【尾瀬保護財団山の鼻ビジターセンター】
すでに影響は出始めている。福島県が管轄する一部の木道は、朽ち果てたままだ。。環境被害も目立ちはじめた。木道付近は鹿と熊の踏みあとだらけだ。鹿のミズバショウへの食害も広がっている。このままでは、かつての尾瀬アヤメ平のような植生破壊も起こり得る。
尾瀬に放射能を降らせた東電にそのすべての責任がある。いまでも放射能の「風評被害」が広がり、地元は踏んだり蹴ったり。対策費を増やしてしかるべきところを、逆に削るとは。【地元の観光業者】
入山者は減ったが、昨年も30万人が尾瀬を訪れた。地元では放射線量を公表して火消しにやっきになっているが、「風評被害」は今も続いている。
以上、小田光康(編集部)「尾瀬の自然守れるのか」(「AERA」2012年6月11日号)に拠る。
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