語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【派遣】FXでの損が運の尽き ~中高年派遣社員物語2~

2017年02月04日 | ノンフィクション
 (1)筆者(森川氏)は、41歳にして教師から大学院修士を経て、民間の廃棄物調査研究所の研究員になった。しかし、待ち受けていたのは、高橋まつりさん(自殺した電通社員)の仕事量に匹敵するほどの過酷な仕事だった。
 残業はすべてサービス残業。朝定時に出社し、夜は終電車で帰る。しかも、6年目にリストラにあって職を追われた。まだ独身。結婚相手を見つける暇などなかった。

 (2)いつかは海外で環境の調査をしたいと思っていた筆者は、それまでに貯めた700万円の貯金を基にして、3ヵ月かけて6ヵ国を2週間で調査するヨーロッパ取材旅行計画をたてた。メールで中央省庁等の役人に面会予約をとり、1日5万円支払って通訳を雇い、取材しない日はスキー等の観光もするという旅行だ。
 旅行後は、貯金を崩しながら調査結果を雑誌に発表。並行してさる会社の契約社員になった。仕事があるときだけ契約社員になるという待遇。ここで海外にグループ派遣してもらおうという企画があり、2年近い営業のおかげで海外で働けることになった。
 小金を貯めて帰国した。

 (3)これを機会に、海外長期滞在記を本にしようと出版社に掛け合い、2年間かけて自宅で執筆。その間はFX(外国為替証拠金取引)で儲けようと軽く考えていた。
 リスクのある取引は、最初はそこそこに儲けるのである。
 ところが、アベノミクスが登場して、口先介入したため、突然、円高から円安に急転落。円高予想の筆者は、もろに損が出た。
 損が出た時は、損を出して取引を切る自動損切りができるんどあが、その手続きをしていなかった筆者は、この円安に耐え切れず、なんと一挙に数百万円の損を出した。・・・・証券会社には言っておきたい。素人衆向けには、自動損切りの手続きを義務化すべきだと。
 さらに保証金の支払いが迫ったため、銀行からも借金して傷が広がった。生活費までFXに賭けていた筆者は、一挙にお金が不足。これはもう明日から働かなければいけないぞ、となり、今から6年前、60歳という中高年になて派遣社員になってしまった。

 (4)こんな損を出したのだから、読者の皆さんにはFXに手を出してはいけません、と申し上げるのが筋だろうが、自動損切りをしていたら、こんな目にはあっていないはず。だから、資金があり、新聞をよく読んでいる人なら、FXは宝くじより儲かる。
 ただし、筆者のように明日の生活費までつぎ込んではいけない。
 不幸は続いてやってくる。出版を約束してくれた出版社の社長は、出版不況のもと、闇金融にまで手を出して倒産。東京を後に、故郷に出奔してしまった。

□森川海守「FXでの損が運の尽き ~中高年派遣社員物語2~」(「週刊金曜日」2017年1月20日号)
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 【参考】
【派遣】余はいかにして派遣社員となりしか ~中高年派遣社員物語1~




【食】ブルーベリーは目の健康に無関係 ~間違いだらけの健康食選び(2)~

2017年02月04日 | 医療・保健・福祉・介護
 ブルーベリーが視力回復に効果があるというデータはない。ブルーベリーに含まれるアントシアニンが目にいいとされているが、目に特化された効果があるわけではない。
 第二次世界大戦中、英国人のパイロットが「暗がりでも敵機がよく見える」というので彼の食生活を調べると、毎日ブルーベリージャムを塗ったパンを食べていたという。そういう逸話が現在まで一人歩きしてきたにすぎない。そこにブルーベリーのサプリメントが発売され、NHKやワイドショーが紹介したことで一気に火がついた。
 確かにアントシアニンには、抗酸化作用と、視神経の伝達物質であるロドプシンの再合成を助け、疲労を回復する作用があるので、目の疲れによる見えのかすみやぼやけなどの症状を改善する可能性はある。ただし、それはあくまで一時的なもので、ブルーベリーをいくら食べても視力自体が回復することはない。
 定期的に目を休めるほうが、効果的だろう。
 本当に目の健康に効果がある食材として近年注目されているのは、「ルテイン」という成分だ。ほうれん草などに多く含まれる成分で、白内障や黄斑変性の予防に効果的であることが明らかになりつつある。また、青魚に含まれるDHAも目の健康にいいとされている。

□記事「「逆さま健康食」 食べ続けると寿命が縮みます」(「週刊現代」2017年2月11日号)
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 【参考】
【食】ウコンは肝臓に悪い ~間違いだらけの健康食選び(1)~

【食】間違いだらけの健康食選び(1) ~ウコン~

2017年02月04日 | 医療・保健・福祉・介護
(1)ウコンは肝臓に悪い
 肝機能が落ちている人は、ウコン(ターメリック)を飲むことでかえって肝障害を悪貨させる危険性がある。特にC型慢性肝炎や非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は肝臓に鉄分が溜まりやすい病気だ。ために、鉄分を多く含むウコンを飲むと、余計に悪化してしまう危険性がある。
 まずは医療機関で相談し、正しい診断を受け、ウコン入りの健康食品を摂る場合は成分表示で鉄分量を確認すること。
 ウコンは、胆汁の分泌を促す(メリット)。同時に、鉄分を摂り過ぎてしまう(デメリット)。そして、メリットよりもデメリットの方が大きいのだ。
 体内の鉄分が多くなってくると、過剰になった鉄分は肝臓の中に蓄積される。すると、活性酸素(タチの悪い酸素)ができやすくなる。活性酸素は大気中に含まれる酸素に比べ、反応性が高く、周囲の細胞(DNA)を傷つける。こうなると肝臓の働きがますます悪くなり、肝臓に沈着した脂肪が活性酸素に刺激され、脂肪肝炎を引き起こし、肝硬変や肝癌の原因になりかねない。
 むろん、鉄分は人間にとって必要な栄養素の一つだ。女性の場合は月経によって貧血になりやすいので、鉄分を多めに摂っても問題ない。しかし、男性の場合は普通に食事をしていれば鉄分が不足することはなく、むしろ摂り過ぎに注意すべきだ。事実、次のようなケースがある。
 〈例1〉飲酒による肝機能低下を防ぐ目的でウコンとシジミエキスを毎日摂取した結果、数ヵ月後に劇症肝炎を発症した。 
 〈例2〉二日酔い防止にウコンを多量に摂取したら、肝機能が劇的に低下し、死亡した。
 〈例3〉肝硬変を患っていた女性が、ウコンの粉末を毎日スプーン1杯程度飲み続けたところ、かえって症状が悪化し、3ヵ月後に多臓器不全に陥って死亡した。
 ちなみに、昔から二日酔いに良いとされるシジミも、摂り過ぎると鉄分の摂り過ぎになる危険性(肝臓の悪化)がある。
 レバーも肝臓にいいとされているが、これも鉄分が多いので注意が必要だ。
 歴史的に見れば、日本は栄養が不足する時代があった。そうしたことから古来、ウコンは肝臓に良いとされてきた。しかし、現代では生活の質が変わっている。肝臓が悪くなる原因は、むしろ肥満やアルコールといった生活習慣病による脂肪肝になってきた。そのため、ウコンの鉄分が逆に体を害するようになってきたのだ。

□記事「「逆さま健康食」 食べ続けると寿命が縮みます」(「週刊現代」2017年2月11日号)
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