語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【幕内秀夫】まず「主食」を見直す ~人を病みつきにさせる“工業食品”~

2017年01月09日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)食の工業化が進み、自然界にはあり得ない「成分」の加工食品が増えている。その多くが「精製糖」と「生成脂質」の量を調整し、また香りや色をよくするために食品添加物を使っている。そうやって「病みつき」になる食品を作り出しているのだ。
 しかも、菓子類や飲料するならともかく、毎日、毎食、口にする可能性がある主食さえ「工業化」している。世界中が肥満や糖尿病などの生活習慣病の増加で苦悩するようになったのも、ここに大きな要因がある。

 (2)オーストラリアは日本に比べると高度肥満者の多い肥満大国である。同国では日本食ブームが起き、回転寿司がどんどん増えているという。
 その日本では毎日寿司を食べている人などいない。どちらかといえば日常食ではなく、ハレの日の食べ物だ。むしろ、米国やオーストラリアの高度肥満者と同じような食生活が増えている。実際、生まれた時から“欧米化”“工業製品化”した食事で育った子どもが成人し、これまでとは明らかに異なる高度肥満の人が増えている。
 こうした食生活を変えるのは簡単ではない。〈例〉パン一つとっても、砂糖や油脂類、食品添加物の入ってないものは特別な店で購入するしかない。しかも高価になる。

 (3)今年、日本でも公開されたオーストラリア映画「あまくない砂糖の話」の中に、スーパーマーケットの棚から砂糖の入った食品を取り除く場面がある。すると、ほとんどの棚から食品がなくなってしまった。笑えるが、それが現実だ。
 その点、日本は恵まれている。どこの店でどんな銘柄の「米」を購入しても、砂糖や食品添加物が入っていることはない。「餅」も食品添加物は入ってない。稀にコーンスターチが入っていることもあるが、どうという問題ではない。麺類にしても、干うどん、干蕎麦、冷麦などに砂糖、油脂類、食品添加物は使われていない。「半生タイプ」だと食品添加物が使われていることがあるが、それほど多くはない。そして、米も餅も麺類もどこでも購入できるし、経済的な問題が生じることもない。

 (4)小さなお子さんのいる人の中には、「お菓子には食品添加物がたくさん使われているので、心配だ」という人もいる。そんな心配をするくらいなら、おにぎりを食べさせればよいのだ。
 その選択ができるところが、日本の恵まれているところだ。
 まずは、主食を見直すところから始めたい。

□幕内秀夫(フーズ&ヘルス研究所代表/学校給食と子どもの健康を考える会代表)「まずは「主食」を見直す。そこから始めよう! ~口は災いのもと 12」(「週刊金曜日」2016年12月23日号)
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 【参考】
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【幕内秀夫】「カタカナ主食」が食生活に与える影響 ~パン・菓子パン・ピザ~
【幕内秀夫】太りすぎた子どもたち ~「お菓子」が主食~
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