語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
読書
大岡昇平+社会問題・社会保障

【保健】世紀のデタラメ健康法 ~「糖質制限」ダイエット~

2016年10月20日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)トンデモ本の最たるものは、「糖質制限食」をテーマとする本だ。類似本が多く、主張は必ずしも同じではない。
 共通するのは、肥満、糖尿病、生活習慣病の予防のためには「糖質」を多く含む食べ物をやめて、「脂質」や「タンパク質」を多く含む食べ物を中心とする食生活をすべき、というものだ。
 〈例〉穀類、いも類、果物、砂糖などを止めて、肉や魚介類を中心とした食生活を勧める。極端なものになると、肉類を主食にするべきだという主張さえある。

 (2)これだけ類似本が出るということには、それなりの理由がある。
 ご飯、パン、蕎麦、いも類、果物など糖質を多く含む食品や砂糖の入った食品を止めて、肉類や魚介類ばかりを食べると体重が落ちる可能性がある。体重が落ちるのだから、糖尿病の人などは血糖値が下がることもある。
 しかし、それは栄養失調で痩せたのだ。栄養失調は、飢餓や断食による「量的」な栄養失調だけでなく、「質的」な意味での栄養失調もある。
 〈例〉「糖質制限食」とは正反対の「玄米菜食」がブームになったことがある。極端な実践者のなかには、玄米と野菜だけで、肉、牛乳や乳製品、卵はおろか魚介類さえ食べない人もいた。蕎麦屋で出汁にかつお節や煮干しが使われていると聞き、食べずに店を出る人さえいた。
 そんな食事をすると、たいがい体重が落ちる。それを喜んでいた女性も結構いた。ところが、真面目に継続して実践した人は、痩せるというよりガリガリになり、女性の場合は無生理、貧血などで苦しんだ人がたくさんいた。明らかにタンパク質、脂質不足による栄養失調だった。
 「糖質制限食」の場合、糖質不足になる。
 これだけ偏った食生活をすると、筋肉、体脂肪、あるいは血液などがきちんと作られなくなる。

 (3)「糖質制限食」を謳うトンデモ本で、「20kg痩せた」「30kg痩せた」といった事例を載せているものがあるが、元の体重が明記されていない。元の体重が百数十kgあるような高度肥満の男性医師が「20kg痩せた」「30kg痩せた」となっても問題にならないかもしれない。
 ただ、栄養失調による減量なのだから、一定期間なら意味がある。しかし、ほとんどのトンデモ本には、「正しい食事によって痩せた」と書いてある。つまり、いつまでも継続してもいい食事ということになってしまう。
 そのため、肥満でもない人や、若いスリムな女性が実践するトンデモない話になってきている。子どもにも実践させる親さえ登場している。 

□幕内秀夫(フーズ&ヘルス研究所代表/学校給食と子どもの健康を考える会代表)「「糖質制限」という世紀のデタラメ健康法 ~口は災いのもと 2」(「週刊金曜日」2016年10月14日号)
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