語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【食】やはり添加物が多い市販品 ~栗甘露煮~

2014年10月12日 | 生活
 栗甘露煮は、「栗含ませ」とも呼ばれる栗の甘煮だ。
 鬼皮と渋皮を剥き(これが大変)、やわらかく茹でた後、薄みつから徐々に濃いみつで煮含めて作る。
 お節料理に欠かせない栗きんとんの、不可欠の食材だ。この時期、スーパーの「栗甘露煮」は心もち威風堂々としている。

 手間を惜しまなければ、「新鮮な栗と砂糖」のみで作ることができる。
 他方、各メーカー(例:加藤産業「カンピー 栗甘露煮」、リリーコーポレーション<三菱食品>「リリー 栗甘露煮」、国分「K&K 栗甘露煮」)の原材料を見ると、
 (1)酸化防止剤
 (2)漂白剤
 (3)クチナシ色素
などの添加物使用が一般的となる。

 (1)酸化防止剤
 酸化現象による食品の変質を予防し、品質の安定性を向上させるために使用される添加物だ。
 ビタミンCは、自身が酸化されることによって食品への酸化防止に働く。ビタミンといっても、酸化防止で添加されるビタミンCには栄養的な価値はない。過剰摂取による嘔吐や下痢などが報告されている。
 同様に酸化防止の目的で添加されるEDTA-Ca・Naは、使用が認められるのは缶詰と瓶詰の加工食品だけだ。催奇形性、胃腸障害、カルシウム不足などを引き起こし、他の化学物質の吸収を促進する働きを持つことから、複合的な毒性が懸念されている成分だ。

 (2)漂白剤
 着色物質を無色にするために使用される添加物だ。
 最終段階で、食品に残存しない場合は加工助剤とされ、表示義務はない。しかし、残存する場合は用途名と物質名を併記しなければならない(義務)。
 亜硫酸塩は、抗菌や漂白に強い効果を持ち、酸化や変色防止にも働く化学物質だ。次亜硫酸Naやピロ亜硫酸Kなど5種類あり、種類によっては遺伝毒性や発癌性が指摘されている。しかし、表記は亜硫酸塩で可とされているため、その表記からはどの種類の成分が使用されているか(その危険性はどうなのか)を知ることはできない。

 (3)クチナシ色素
 漂白剤で色を抜いた栗は、今度はクチナシ色素で鮮やかにして均一の黄色に着色される。
 漂白剤で色を抜いて白くすることで、その後の着色がきれいに仕上がるため、漂白と着色とがセットで行われるのが一般的だ。

 さらに、市販の栗甘露煮は、皮を剥いた剥き栗が使用される。あくを抜き、煮崩れを防ぐため、製造されるまでミョウバン水に浸けて保管されるのが一般的だ。
 ミョウバンは、硫酸アルミニウムと硫酸カリウムの結合物だ。古くからナスの漬け物の色付けなどに利用されてきた添加物だ。しかし、近年、含有されるアルミニウムの強い急性毒性が指摘されている物質だ。

 手作りが無理なら、せめて原材料が「栗と砂糖」だけのシンプルなものを選んで購入しよう。
 栗=黄色という消費者の思い込みが、漂白剤や着色剤などの添加物容認につながっている。
 食品の生活な知識を持つことなくして、食の安全は成り立たない。

□沢木みずほ(薬食フードライフ研究家)「季節到来!の「栗甘露煮」。市販品はやっぱり添加物が多い」(「週刊金曜日」2014年10月3日号)
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