7月30日(土曜)
とにかく山小屋は夜9時には部屋の電気が消えてしまうのですが、耳栓をした私はあっけなく向こうの世界に行ってしまい、朝の5時近くまで一度も起きることなく眠れたのでした。
みんなの笑い声とも驚きともつかない声で現世に呼び戻された私を待ち受けていたのは、あまりにも恥ずかしい現実でした。日頃、裸族を公言して憚らない私ですが、(夜中はきっと暑かったのでしょう)、朝自分が起きるより早く、M先生が、布団から足を出して爆睡している私の『左足首に黒いタイツと短パンが絡まっている姿』を発見し、部屋の中では速やかにホウ・レン・ソウ、が行われたのであります。
ソウ、それは相談。皆さん、こいつは見てわかる通り寝たまま短パンとタイツを脱いでいるが、こいつは裸族なので、まさか下着まで脱いでしまってるのだろうか??という疑問の相談。
目覚めた私は、その報告に一瞬狼狽したものの、すぐにその事実(平たく言えば穿いているか穿いてないか)を確認し、その後何事もなかったかのように冷静沈着に『穿いています』と皆さんに伝えたのでした。常にベストの体温を保とうという高度な温度調節機能を持ち合わせていながら一線を越えない私と、布団をめくってまでして真意を確認しなかった皆さんの冷静な対応で、
軽犯罪法第1条
左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
20項.公衆の目に触れるような場所で公衆に嫌悪の情を催させるような仕方で尻、ももその他身体の一部をみだりに露出した者
という法に触れずに済んだばかりでなく、ハイキングクラブの結束も揺らがなかったのであります。
天気のすぐれない土曜日の朝です。朝食を済ませ(また3杯)、6:30に西穂高山荘をいざ出発。
丸山までは、水溜りの多い笹やハイマツなどの茂る登山道を浸すら歩きますが、徐々に森林限界を抜けてガレ場を踏みしめながら登っていきます。
足元は濡れていて岩場はところどころ滑りやすいのに、だんだん難しい登りも増えてきたものの何とか独標まではたどり着きました。
独標からは相変わらず何も見えなかったのですが、一瞬だけ西穂高に向うルートの雲が切れ、その全貌の一部を見ることが出来ました。昨日は独標まで、見たいな雰囲気はあったのですが、私は「これはきっと西穂まで行くはずだ」と、言うなればドMの第六感が働いておりました。
私も少しは成長したのでしょうか、不思議と独標からは怖さをあまり感じませんでした。
が、そこはMr.パンパース、天気が悪く切り立った景観が見渡せないからだけで、もしピーカンだったら高分子吸収材の性能は如何なく発揮されるはずでした。
さすがに西穂の直下は足場も少なく、なかなかな恐怖でしたが、
みな無事に登頂!!
考えてみれば、今来たこの道帰りゃんせなのですから、頂上直下の登りを今度は下り
(ここは怖かった・・)、
Bに叱られながら(汗)、何とか何とか西穂山荘まで生還したのでした。ロープウエイまでの道すがら、時折晴れ間が見え、今までの天気が嘘のように好転してきました。行きは見えなかったロープウエイからの景色も帰りはよく見え、何とか何とか駐車場までたどり着いたのでした。