9月16日(日)
それにしてもこの一晩は「苦行」以外のなにものでもなかった。
下界では、そうそう経験できるものではありません。
朝食も並んだ者順。なんとか最初の朝食にありつけました。
満天の星が残る空の下、寒さで震えながらご来光を待っていましたが、
なかなか登ってこないので、諦めて出発することにしました。
大天井ヒュッテに向かって標高を下げていくと、
目の前に朝日に輝いた槍ヶ岳とその周辺の山々がパノラマのように広がってきました。
大天井ヒュッテから西岳までの稜線は感動の一言。
右手には槍ヶ岳や穂高の峰々、
左手には常念岳、富士山、さらに向こうには八ヶ岳連邦。
快晴の表銀座の素晴らしさを体全体で感じました。
西岳山荘に到着し、槍ヶ岳が目の前に広がるベンチで、
大天荘で作って頂いた昼食を食べました。
ここから下り約1時間、登り約2時間の苦しい時間が始まります。
なにもこんなに下らなくてもと思いながら下り、
なにもこんなに登らなくてもと思いながら登るにつれ、
眼前には先ほどまで美しい山容だと思っていた
槍ヶ岳の荒々しい山肌がそびえ立つようになってきました。
途中、頭上を飛ぶヘリコプターが槍の東側の西鎌尾根の
稜線の向こう側に救助隊をロープで降ろす姿が見え、
その後救助したであろう人を槍の診療所に運んで行くのを見ながら、
今日も残り1時間はフラフラ状態で登っていきました。
ヒュッテ大槍辺りから、槍の穂先に登ろうとする人の長蛇の列が肉眼でも見えるようになりましたが、
その時は槍の頂上より槍ヶ岳山荘まで行けるかどうかの瀬戸際で(笑)、
その後酔っぱらいの帰巣本能のような歩き方でなんとかかんとか槍ヶ岳山荘に到着しました。
槍ヶ岳山荘は溢れるばかりの人人人でしたが
(この後結局600人くらい宿泊し、現代版野戦病院のようでした)、
KNさんのご子息Kちゃんの計らいで、
二つの布団に一人ずつ寝れるだけの素晴らしい部屋に泊まる事が出来ました(感謝感謝!!)。
再び外に出て槍に並んでいる人に聞いたところ、
登って降りるまでに4時間(!)かかるとのことでしたので、
とりあえず1000円の生ビールをグビグビして、部屋に戻って休んでいました。
15時過ぎに再び行ってみたのですが、
槍の頂上でiphone5を販売開始したかのように列は続いており、
ここでも断念して生ビールをグビグビして、部屋に戻って休憩。
16時半頃、最後のチャンスと決めて外に出てみたら、
急に列が短くなっていて、今しかないと並び始めました。
この頃から夕食の時間だったので人が減ったのでしょう。
強い風が吹いて寒かったのですが、約1時間で無事登頂!。
私も人の事を偉そうに言える身分ではないのですが、
余りに経験がない方が交通渋滞を引き起こしているのは明らかで、
もう少し何とかならないかなあと思いました。
(余談ですが、登頂後の下りで前にいた初老の方が降り方がわからなかったのか、
一緒にいた方に「ここは頭が下ですか?」と
聞いていて思わず笑ってしまいました。混乱していたのはわかりますが・・・・)。
ヘッドライトが必要になるかならないかの薄暮状態で、
無事に山荘に戻ることが出来、部屋に戻ったらすぐに夕食の順番が回ってきました。
おいしい夕食に加えて、
槍のてっぺんに登れた嬉しさもあって、ご飯は2杯戴きました。
通常20時30分には消灯のはずが、それを過ぎても夕食のアナウンスが聞こえてきました。
結局夕食は12回あったとか!。
Kちゃん本当にご苦労さまでした。
昨日の苦行が遠い昔のことだったかのような今日の宿。
いつの間にか深い眠りにつきました。
KNさんも深い眠りにつけたかは存知あげません(笑)。