hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

伊坂幸太郎『あるキング』を読む

2010年11月28日 | 読書2

伊坂幸太郎著『あるキング』2009年8月徳間書店発行、を読んだ。

宣伝文句はこうだ。

弱小地方球団・仙醍キングスの熱烈なファンである両親のもとに生まれた山田王求。“王が求め、王に求められる”ようにと名づけられた一人の少年は、仙醍キングスに入団してチームを優勝に導く運命を背負い、野球選手になるべく育てられる。期待以上に王求の才能が飛び抜けていると知った両親は、さらに異常ともいえる情熱を彼にそそぐ。すべては「王」になるために―。人気作家の新たなるファンタジーワールド。



山田王求は、生まれた時から野球選手になるべく育てられ、プロ野球界でも規格外の常識を破る凄い選手になる。なにしろ、投手が投げた球を瞬時に見分け、ストライクの球はほとんどホームランする。小学生のとき、プロの全力投球の球をホームランする。
しかし、彼があまりにも強いがため、多くの困難が襲い掛かる。王求が、仙醍キングス悲劇の選手・監督の生まれ変わりとして誕生したときから、青年期に育つまでの物語だ。

両親の熱狂ぶりがすごい。同級生に「山田君はやっぱりプロ野球選手を目指しているんですか」ときかれた母親は「ひまわりの種に、ひまわりを目指しているんですかって質問する?」と答える。父親も父親で、王求をいじめた奴を殺してしまう。


初出:「本とも」2008年4月号~2009年3月号。
あとがきで著者は言っている。

「本とも」連載中はとにかく、「自分が読みたい物語を自由に書きたい」と思っていました。が、書き上げてみると、当初の思惑よりは、自由に書いていなかったのではないか、と不安になり、単行本化にあたって書き直しを行ったのですが、すると、本筋は同じであるもののまるで違う様子の物語になりました。もちろん、いつもの僕の小説とも雰囲気の異なるものになりました。





私の評価としては、★★(二つ星:読めば)

伊坂さんの持ち味「シャレた会話」「騙されて爽快なプロット」「伏線の鮮やかな開花」が見られず、空虚なファンタジー。重要なところで出現する黒装束の三人組魔女も浮いている。シェークスピアの『マクベス』を参考にしているようだが、無理が目立つ。著者だけが楽しんでいて、ついていけない。
その上、アンチ巨人が行き過ぎて野球嫌いになった私には、読むのも辛い野球の話だった。



伊坂幸太郎&既読本リスト


コメント
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