hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

伊坂幸太郎『仙台ぐらし』を読む

2012年07月19日 | 読書2

伊坂幸太郎著『仙台ぐらし』2012年2月、有限会社荒蝦夷(あらえみし)発行、を読んだ。

伊坂さんの『3652』に次ぐ2冊目のエッセー集(一部フィクション)。

震災前に書いた軽いエッセイは、タクシーの台数が多く、中心部の喫茶店など馴染みの店が閉店していく仙台を描いた11編。真面目で心配性、自意識過剰気味な伊坂さんの人柄が伝わる。

震災後の4編には、仙台に住む伊坂さんの混乱、何もできない苦悩が溢れている。そして、「今やっていることをやり続ける」「僕は楽しい話を書きたい」と思う。

最後に、震災後の石巻を舞台に移動図書館のボランティアをする2人の短編小説がつく。

初出:最初の10編「~が多すぎる」は、荒蝦夷「仙台学」に2005年~2010年に連載。最後の「ブックモービル a bookmobile」は書下ろし。



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

前半は気楽に書いた軽めの身近な話で、伊坂ファンか、仙台に縁のある人以外には特にどうということはないだろう。でも、ファンである私は、小説からは想像できなかった伊坂さんの真面目、小心、自意識過剰ぶり(のふりをしている?)を楽しめた。

町で「あ、伊坂さん?」と聞かれるのではと想像してどうしようかと思い、単に勧誘だったりして自意識過剰がバレるのではと恐れたりする。

庭を猫のトイレにされてそれを防ごうと強く出られない伊坂さん。人のよい伊坂さんの実家の家族は猫好きで、ついつい我が物顔の猫を飼わざるを得なくなった過去があった。トイレも・・・。

3月11日の仙台での様子が生々しく描かれる。そして、作家として小説など書いていてよいものかと悩む。以前にも会ったことがある男性が「こんな大変なことが起きちゃったけれど」「また楽しいのを書いてくださいね」と言った。知りあいからのメールに「ただ、とにかく、今やっていることをやり続けなさい。今踊っているダンスを踊り続けなさい」とあった。そして、伊坂さんは「僕は、楽しい話を書きたい」と書いている。



伊坂幸太郎の履歴&既読本リスト

コメント
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