hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

紙芝居の思い出

2007年10月30日 | 昔の話
最近、話題が途切れがちで、困ったときの昔話を一つ。

私の子供のころは東京でもザリガニが取れる川や、自由に遊べる空き地があり、車もそう多くなく三角ベースの野球ができる裏道もあった。
しかし、日常の遊び以外の娯楽といえばたまのお祭りと紙芝居くらいだった。

毎週何曜日かに来る紙芝居屋さんは、まず飴などのお菓子を売る。子供達はその飴をなめながら、紙芝居を見る。しかし、貧乏な我家には小遣いなどなく、家の事情が十分わかっている私はおねだりなどできなかった。

あめを買わないで、後ろのほうで目立たぬように紙芝居をそっと見ていると、「ほら、そこの飴を買わない子! 見ちゃだめだ」と、おじさんに怒られた。けっこう大勢いるので判らないと思ったのに、オドオドしているので、すぐ判ったのだろう。
友達から一人だけ遠くに離れて紙芝居を見てみるが、おじさんの声は聞こえるが絵が見えない。未練たらしく、坂の上の方に行きウロチョロ、キョロキョロする幼い私の姿が50年以上経った今でも目に浮かび、いとおしく、切なくなる。

たった一度だけだが、どういうわけか、お金をもらって、飴を買ったことがある。丸い中に何か動物をかたどった模様がある飴が棒についていて、うまく舐めていると、その動物の形がスッポリ取れる。はじめてみた紙芝居の内容は覚えていないが、友達と、クスクス笑いながら、取れかけた飴を見せ合ったことを昨日のように覚えている。

いつも腹がすいていたし、他の家より貧乏だったが、今思うと、幸せな子ども時代だった。そもそも、世の中はだんだん良くなるものと思っていたし、実際そうなって行ったのだ。



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