hiyamizu's blog

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姫野桂『発達障害グレーゾーン』を読む

2021年05月07日 | 読書2

 

姫野桂著、OMgray事務局特別協力『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書287、2019年1月1日扶桑社発行)を読んだ。

 

昔に比べはるかに、発達障害の認知が広まるなかで、香山リカさんが何かの本で、「自分は発達障害じゃないだろうかと疑い、相談に来る人が増えている」と書いていた記憶がある。この本でも「自分もそうかも?」と専門外来に殺到し、病院によっては数か月待ちという状況になっているという。

治療・研究が深まる中で、発達障害の定義がいまだ変化しつつあり、同時に医師により診断結果が異なることが多い現在、発達障害と健常者の診断の境目はあいまいだ。患者の方もまた、神経質に自らを疑う人がいる一方、実際に境目にあたる人も多いのだろう。

 

この本は「発達障害グレーゾーン」にあたる何人もの大人へのインタビュー記録だ。

著者は、「当事者インタビューや、当事者会への参加、精神科医、就労支援団体などへの取材を通じて、グレーゾーンの人は、単に努力不足や、やる気がないなどと周囲に思われ、生きづらさを抱えていることを示す。
例えば、具体的な職場で働く上での問題点は、

「学生時代は大丈夫だったのに、社会に出たらミスばかりする」
「雑談が苦手で、周りから“空気が読めない人"と言われてしまう」
「衝動的にカッとなったり、一か所にジッとしていられない」

などが挙げられ、各人の改善への工夫などに触れている。

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで、最大は五つ星)

 

この本を読んだ私も、まだ、グレーゾーンの人を単にだらしない人と見がちだなと思ってしまう。本当に発達障害の人、その傾向のある人と、単にだらしない人の差は、外から見ているだけで明確に分かるのだろうか?

それは、話を聞きながらメモするなど二つのことが同時にできない事や、どうしても仕事を順序良く進められないなどの症状が実感できないためだ。その一方で、あきらかにやる気なく、努力不足の人もいる現実に直面しているためでもある。

 

グレーゾーンの人は、発達障害だという診断を求めていくつもの病院を巡る人が多いらしい。これは、ついに診断を受けて、自分の努力が足りないせいではなかったとの免罪符を得ることが目的というより、原因がはっきりして安心するということなのだろうか?

 

 

姫野桂(ひめの・けい)

フリーライター。1987年生まれ。宮崎市出身。日本女子大学文学部日本文学科卒。大学時代は出版社でアルバイトをし、編集業務を学ぶ。卒業後は一般企業に就職。25歳のときにライターに転身。現在は週刊誌やウェブなどで執筆中。専門は性、社会問題、生きづらさ。猫が好き過ぎて愛玩動物飼養管理士2級を取得。

著書に『私たちは生きづらさを抱えている 発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(イースト・プレス)

 

OMgray事務局
軽度の発達障害特性に悩む人の当事者会「ぐれ会! 」や「グレーゾーンのための問題解決シェア会」を運営する。同会が立ち上げたイベントにはこれまで400人以上が参加。代表のオム氏は支援機関などに呼ばれて講演活動も行う

 

 

ADHD:不注意が多かったり、多動・衝動性が強い

ASD:コミュニケーション方法が独特だったり、特定分野へのこだわりが強い

LD:知的発達に遅れがないにもかかわらず、読み書きや計算が困難

 

発達障害は治ることはない。特性の対策により軽減するしかない。そのためのコンサルタントが必要だ。

 

DSM-5を基準とすると、(1)社会性の障害、(2)コミュニケーションの障害、(3)興味の限局性(こだわり)が発達障害の主な特徴。
(1)と(2)は当てはまる人が多いが、(3)は並外れて限定された興味を持っていて、ちょっとしたこだわりではないので、当てはまる人は少ない。

 

キレやすいのも、他人に完璧を期待しているからですよね。そもそも、人に期待しちゃいけないんだと思うように練習したら、イライラすることが減りました。そして、自分ではなくまずは相手の承認欲求を満たすことを心がけました。(p104)

 

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