hiyamizu's blog

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桐野夏生『とめどなく囁く』を読む

2019年11月12日 | 読書2

 

桐野夏生著『とめどなく囁く』(2019年3月25日幻冬舎発行)を読んだ。

 

幻冬舎の宣伝文句は以下。

一番近くにいるのに
誰よりも遠い。
海釣りに出たまま、二度と帰らなかった夫。
8年後、その姿が目撃される。そして、無言電話。
夫は生きていたのか。

塩崎早樹は、相模湾を望む超高級分譲地「母衣山庭園住宅」の
瀟洒な邸宅で、歳の離れた資産家の夫と暮らす。前妻を突然の病気で、
前夫を海難事故で、互いに配偶者を亡くした者同士の再婚生活には、
悔恨と愛情が入り混じる。そんなある日、早樹の携帯が鳴った。
もう縁遠くなったはずの、前夫の母親からだった。
自分がやったことは
ブーメランのように自分に返ってくる。

 

逗子の母衣山(ほろやま)庭園住宅に住み恵まれた再婚をした早樹にも悩みはある。

 

夫・克典の長男・智典46歳は会社を継いでいて、妻は同い年41歳の優子。長女・亜矢44歳は歯科医と結婚して神戸に住む。問題は次女・真矢41歳で、独身。前妻・美佐子と仲が良かった真矢は父親と不仲で式にも出席せず、ブログに克典早樹の悪口を書きまくっている。

 

前夫・加野庸介は三浦半島で海釣りに一人で出かけ帰らなかった。7年後死亡認定され、早樹は付き合っていた克典と結婚した。元義母・加野菊美がある日、「近所のスーパーで庸介を見た」と言い出す。埼玉の実家の父も、庸介に似た人物を目撃していた。どこかで庸介は生きているのか? そうであったら?

 高校からの親友で弁護士の美波に相談し、庸介の釣り仲間(同じ大学の小山田潤、丹呉陽一郎、釣り雑誌の編集者・佐藤幹太)に連絡を取ると、早樹の知らなかった夫の姿がちらちらとする。

 

72歳の克典と、41歳の早樹の暮らしは豊かなものであったが、歳の差もあり、穏やかな引退生活を同じように要求されている柔らかな束縛を感じることがあった。

あるできごと以降、塩崎家が結束し、早樹はひとり外れそうな雰囲気になる。

 

本書は東京新聞など4紙朝刊に2017年8月1日~2018年9月30日まで連載。

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

新聞小説だからなのか、徐々に深みにはまっていくように書いている点は著者の筆力なのだろう。しかし、展開が遅く、じれったい。にもかかわらず結局、445頁を読まされている自分にも腹が立つ。

 

なぞ自体は想定内に収まっているので意外性はなかった。早樹がなぜそんなにイライラするのか、今一つぴんと来ない。失踪前の夫婦仲が良くなかったのなら、そんなに「何故突然に!」と悩むことないのにと思ってしまう。

 

 

桐野夏生(きりの・なつお)の略歴と既読本リスト

 

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