hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

絲山秋子『小松とうさちゃん』を読む

2020年04月02日 | 読書2

 

絲山秋子著『小松とうさちゃん』(河出文庫い40-3、2019年12月20日河出書房新社発行)を読んだ。

 

河出書房新社の宣伝文句 

さえない52歳の非常勤講師小松とネトゲに熱中する飲み友達のサラリーマン宇佐美。小松に訪れた人生最後(かもしれない!?)恋に、宇佐美は奮闘するのだが……「完全恋愛小説」の誕生!

ーー「小松さん、なんかいいことあった?」
52歳の非常勤講師小松の恋と、
彼を見守るネトゲに夢中の年下敏腕サラリーマン宇佐美の憂鬱

52歳の非常勤講師小松は、新潟に向かう新幹線で知り合った同い年の女性みどりが気になっているが、恋愛と無縁に生きてきた彼は、この先どう詰めればいいか分からない。一方、みどりは自身の仕事を小松に打ち明けるかべきか悩んでいた。彼女は入院患者に有料で訪問サービスをする「見舞い屋」だったのだ。小松は年下の呑み友だち宇佐美に見守られ、緩やかに彼女との距離を縮めていくのだか、そこに「見舞い屋」を仕切るいかがわしい男・八重樫が現れて……絲山秋子が贈る、小さな奇蹟の物語。

 

「小松とうさちゃん」

宇佐美:蓄電会社勤めで妻子持ち。ネットゲームの42名の同盟員の盟主でハンドルネームは「うさぴよん」。

小松:3大学で5コマの非常勤講師を務める研究者。52歳。犬猫文鳥の世話のため実家暮らし。

長崎みどり:52歳の離婚経験者。偽装「見舞い屋」。元自動車教習所教官。

八重樫:みどりが雇われている「見舞い屋」を経営。

 

「ネクトンについて考えても意味がない」

南雲咲子は瞑想により精神を持つミズクラゲと会話する。

ネクトン:水の流れに逆らって自力で泳ぐことができる生き物。

プランクトン:自分から泳ごうとしない生き物。クラゲはプランクトン。

ベントス:クラゲでも海草でも貝でも、ずっと海底で暮らす生き物。

 

「飛車と騾馬(らば)」

飛車のような面構えをした宇佐美と、子孫を残さない一代雑種に喩えて騾馬世代と呼ばれる小松は飲み友達。

この6枚足らずの掌編が短編「小松とうさちゃん」に発展した。

 

 

本書は2016年単行本として刊行。

初出:「小松ととうちゃん」(「文藝」2015年夏号、秋号)、「ネクトンについて考えても意味がない」(「文学界」2014年3月号)、「飛車と騾馬」(「文藝」2014年秋号)

 

 

絲山秋子(いとやま あきこ)
1966年東京生まれ。早大・政治経済学部卒後INAXに入社し、営業職で数度転勤。
1998年に躁鬱病を患い休職、入院。入院中に小説の執筆を始め、2001年退職。
2003年『イッツ・オンリー・トーク』で文學界新人賞を受賞。芥川賞候補。
2004年『袋小路の男』で川端康成文学賞受賞。
2005年『海の仙人』で芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。『逃亡くそたわけ』で直木賞候補。
2006年『沖で待つ』で芥川賞受賞。
2016年『薄情』で谷崎潤一郎賞受賞。
他に、『ばかもの』、『北緯14度』、『忘れられたワルツ』、『小松とうさぎちゃん』など。

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

おっさん二人と、50歳過ぎの女性の話は、ゆったりとほのぼのと、楽しく読める。

しかし、絲山さんって、もっと鋭くとがったものを持っているはずなのにと思ってしまう。

 

 

メモ

「予想」の回文は「うそよ」

コメント
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