hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

中村文則『最後の命』を読む

2013年04月12日 | 読書2
中村文則著『最後の命』(2007年6月講談社発行)を読んだ。

帯にはこうある。
ある日、帰宅するとベッドの上で女が死んでいた。警察で取り調べを受ける私は、そこで意外な名前を聞く。その名は、私を強制的に記憶の奥底へと引き戻す―。少年時代に起こったひとつの強姦殺人事件。その日を境に心の奥底に宿った欲望の種子は、ふたりの男の運命を切断していく。暴力、欲望の生みだす罪。その残酷さの中にある人の希望とは!深遠なテーマと向きあい、たどり着いた著者の新境地!渾身の傑作長篇小説。


秘密基地を作って2人だけで遊んでいた小2の私と冴木は、ある夜、浮浪者たちに襲われている女・やっちりを目撃する。暴行者たちからようやく逃れる。仕返しをおそれ警察にも届け出なかったが、その後、やっちりは死体となって発見される。

この体験により、二人の生き方は徐々に社会から外れていく。そして、大人になった私のもとに冴木から電話がかかり・・・。

初出:「群像」2007年2月号



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

芥川賞受賞後はじめての長編ということで、目一杯がんばって書いているのが目立つ。観念的な記述が青臭く、逆に、やたら社会から距離をとり、死を意識したりと、わざとらしく、引いてしまう。小2で、正しい行動をとれなかったという体験が、それほど引きずるものだろうか。

最後の方に、告白メールが30頁も延々続く。こんな長いメール打てる?



中村文則は、1977年愛知県東海市生れ。福島大学行政社会学部卒。
作家になるまでフリーター。
2002年『銃』で新潮新人賞、(芥川賞候補)
2004年『光』で野間文芸新人賞、
2005年『土の中の子供』で芥川賞、
2010年『掏摸』で大江健三郎賞を受賞。
その他、本書『最後の命』、『悪意の手記』、『何もかも憂鬱な夜に』、『世界の果て』

コメント
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