篠田節子著『美神解体』角川文庫し31-6、2012年5月角川書店発行、を読んだ。
裏表紙にはこうある。
目を上げると鏡の中の見知らぬ女が、自分を見つめている――。美容整形で、彫刻的美貌を手に入れた麗子。しかし葬り去ったはずの容貌は、心まで飼い馴らすことはできなかった。愛されることを渇望し、満たされない日々を生きる女の心に、ある日ともった恋心。想いを募らせ追いかけていった先の山荘で目にした衝撃の情景とは!? ともに一つになって闇の底に転落していこうとする男と女の倒錯した愛の形を描く、異色の恋愛小説。
麗子の誕生が原因で母が心臓病となり、彼女は施設に預けられ、父からも疎まれるようになった。麗子に残されたものは中古のピアノだけになり、バーなどでピアノを弾いて暮らしを立てていた。30代を目前にして整形によりあまりに美しい顔を手に入れたが、待っていたのは、以前にもまして哀しみと虚しさに満たされた日々だった。そんなある日、人気商業デザイナー・平田一向に出合う。
本書は、1995年8月に角川ホラー文庫より刊行された作品に、大幅な修正を加えた。
私の評価としては、★★(二つ星:読めば)(最大は五つ星)
あまりにも極端で現実離れしているのに、話の流れは想定する通りに進んでいく。意図的なのだろうが、文章は生硬で彼女の哀しみ、彼の苦しみが絵空事に思え、怖くない。
篠田節子の略歴と既読本リスト