hiyamizu's blog

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和田秀樹『困った老人と上手につきあう方法』を読む

2012年06月30日 | 読書2
和田秀樹著『困った老人と上手につきあう方法』宝島新書271、2008年4月宝島社発行、を読んだ。
(最近文庫化されている)

近年、万引き、暴行、傷害など老人の犯罪が増えている。また、円熟の境地からは程遠い、トラブルや争いを引き起こす暴走老人から、意地悪ばあさん、ボケ始めのおじいちゃんなど困った老人たちが多くなっている。

著者は、原因の一つとして加齢による前頭葉の萎縮をあげている。医学的には、体力や知的機能よりも感情機能の方が先に衰える。そして、
1. 意欲低下
2. 感情抑制機能の低下
3. 判断力の低下
4. 性格の先鋭化  
して、その人の元々持っている性格が顕著に表れる「性格の先鋭化」が起こる。頑固な人がますます意固地になる、疑り深い人が被害妄想的になるなどして、人間関係のトラブルが増えるという。
加えて、年寄りを嫌うエイジズムな社会が高齢者を不安・孤立させている。

困りものの高齢者に対しては、私たちが「受容・傾聴・共感」してあげることで高齢者の不安を取り除くことが大切だという。
受容:どんな理不尽な話であれ、ますは無条件に受け入れ、相手にこの人は話を聞いてくれる人だと思わせる。
傾聴:説得や反論せずにとりあえず言い分を聴き、相手を冷静にさせる。
共感:同じ目線になり相手の立場になってその気持ちに寄り添う。上から目線の同情ではない。

また、85歳以上になれば程度はいろいろだが、すべての人に脳にアルツハイマーの変化が出る。認知症は老化現象の一種だ。生活に著しく困るようになるまでは周りの人が理解し、受容していくことが大事だ。



私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

著者は長年老人医療に携わっただけに老人にやさしい。困り者に成り果てた老人の気持ちをさすがによく把握している。
本当に困りものの高齢者に対し「受容・傾聴・共感」で接することができるだろうか。なんだか老人だけ甘やかしすぎのような気もする。私自身はとてもそんな優しい対処はできないが、私には是非そう対応して欲しいと思う。



和田秀樹(わだ・ひでき)
1960年大阪生まれ。東京大学医学部卒。
東京大学精神神経科助手、アメリカ・カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在は精神科医、国際医療福祉大学大学院教授、和田秀樹こころと体のクリニック院長。著書:『震災トラウマ』、『「「がまん」するから老化する』、『こころの強い男の子の育て方』。その他、
心と向き合う臨床心理学
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精神科医は信用できるか-心のかかりつけ医の見つけ方-
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