hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

東野圭吾『ナミヤ雑貨店の奇蹟』を読む

2012年06月22日 | 読書2

東野圭吾著『ナミヤ雑貨店の奇蹟』2012年3月角川書店発行、を読んだ。

ケチな盗みを働いた若者3人が一晩の隠れ家として廃屋になっているナミヤ雑貨店に忍び込む。約40年前、その店は、シャッターの郵便口に相談の手紙を入れると、店主の波矢雄治が丁寧な回答をくれることで有名だった。
そして、家のドアを閉めると、外は1979年にタイムスリップして40年前の相談の手紙が3人に舞い込んできた。3人は、最初は面白半分、そのうちに知恵を振り絞って回答する。3人組と過去の人間との時空を超えた手紙のやり取りが始まるという、連作中篇5本のファンタジー。

第1章 回答は牛乳箱に
オリンピック出場を目指すか、恋人の看病をすべきかを相談する女性。そのオリンピックは1980年の幻のモスクワオリンピックだった。

第2章 夜更けにハーモニカを
魚屋の家業を継ぐか、ミュージシャンにこだわるか、克郎は相談の手紙を出す。結局、彼が作曲した「再生」は・・・

第3章 シビックで朝まで
40年前頃、この雑貨店の店主波矢雄治は、いたずらの手紙にさえ、懸命に考えて回答を書いていた。そして、年取って死期が近づいた時、自分の回答が役に立ったのか確かめたくなる。

第4章 黙祷はビートルズで
夜逃げをする父母についていくべきかを和久浩介は問う。回答は家族こそ大切というものだったが、浩介は、

人と人との繋がりが切れるのは、何か具体的な理由があるからじゃない。いや、見かけ上はあるとしても、それはすでに心が切れてしまったから生じたことで、後からこじつけた言い訳みたいなものではないのか。なぜなら心が離れていなければ、繋がりが切れそうな事態が起きた時、誰かが修復しようとするはずだからだ。


と考えて、一人で進む。長年が経過し、なんとか幸せを掴んだ彼は父母の最後を知る。彼らがなぜそんなことをしたかといえば、・・・。

第5章 空の上から祈りを
OLをやめて水商売に転職するか悩んだ晴美は、成功するが、3人組に襲われる。

初出:「小説 野性時代」2011年4月号、6月号、8月号、10月号、12月号



私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

タイムスリップと人生相談を結びつけた面白い構成になっている。第4章、5章と話が盛り上がり、すべての登場人物が、結局、ナミヤ雑貨店と児童養護施設「丸光園」へつながっていく。



東野圭吾の履歴&既読本リスト

コメント
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