hiyamizu's blog

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和田秀樹『心と向き合う臨床心理学』を読む

2012年06月11日 | 読書2

和田秀樹著『朝日おとなの学びなおし 心理学 心と向き合う臨床心理学』2012年1月朝日新聞出版発行、を読んだ。

最初に臨床心理学の概要が説明される。
心理学とは何かに始まり、フロイトの精神分析、フロイト以後の精神分析、森田療法が要領よく解説される(約100ページ)。もっとも注目されている心理療法として認知療法、認知行動療法(約30ページ)、集団療法、家族療法(約20ページ)の説明がある。

最後の50ページほどは応用編で、臨床心理学をどう学ぶか、どうビジネスに役立てるか、トラウマと臨床心理学。

メインはあくまで学術解説なのだが、和田さんらしく、心の傷や人間関係の悩みなど、実生活の問題に役立つ臨床心理学の知識をわかりやすく解説。目の前の患者さんを治すために実際に行われ、効果をあげている精神分析や森田療法、認知行動療法、家族療法,などを紹介する。



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

臨床心理学に興味のある人や、全体をご存じない人にはお勧めだ。要領よく学問の流れが説明されている。
じゃあ、お前は臨床心理学がよく分かったかといえば、発展の流れや、治療しようとする方法は分かったが、関連のない各種治療方法が個別に説明されるので、本当に効果あるのは何か? 幅広い人に適応できるのか?など実効性については充分納得できなかった。基本的理論に基づき各論があるのではなく、演繹的、実験的に各種方法が発展中の学問なのだろう。

和田秀樹(わだ・ひでき)
1960年大阪生まれ。東京大学医学部卒。
東京大学精神神経科助手、アメリカ・カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在は精神科医、国際医療福祉大学大学院教授、和田秀樹こころと体のクリニック院長。著書:『震災トラウマ』、『「「がまん」するから老化する』、『こころの強い男の子の育て方』ほか。





以下、私のメモ

コフートの「自己心理学」
フロイト学派のリーダーだったコフートの理論は「自己心理学」と呼ばれ、人間は誰でも自分がかわいく、他人を愛することを通じて、自己愛を満たせれば良い。「人間は自己愛を満たしたい生き物であり、それが満たされなかったり、あるいは傷ついたりすると心に問題がおきる。

相手に対し極端な理想化と幻滅を繰り返し、対人関係の不安定さと、衝動のコントロールの悪さが問題なボーダーラインの人は、悪気で言ったわけでもないジョークにたいしてひどい侮辱だと感じて激しい怒りを爆発させたりする。
コフートは、ボーダーライン患者は子供の時に自己愛を充分満たせないままに大人になったと考え、「共感」をもって接し、心理的な「育て直し」をして治療に効果を上げた。

ボーダーラインより症状の軽い「自己愛パーソナリティ障害」は誇大妄想が特徴で、自分は頭がよく、えらいと思っていて、そのことを褒めて欲しくてしょうがなく、共感が欠如し、相手の気持を考えない。アメリカではこのようなタイプが出世することがあるが、内面的な虚しさを持っていたり、認められている感じがしないなどといって、精神分析治療にやってくる。コフートの「自己心理学」は米国で成功した。

トラウマ
最近のトラウマ治療では、トラウマの記憶を思い出させるよりは、今抱えている不安や恐怖感に対して共感することや、リラクセーションテクニックを教えてあげて、「今をどう生きるか」を大事にしてあげようといる考え方に変わってきています。




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