hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

相場英雄『震える牛』を読む

2012年06月24日 | 読書2

相場英雄著『震える牛』2012年2月小学館発行、を読んだ。

宣伝にはこうある。
警視庁捜査一課継続捜査班に勤務する田川信一は、発生から二年が経ち未解決となっている「中野駅前 居酒屋強盗殺人事件」の捜査を命じられる。 初動捜査では、その手口から犯人を「金目当ての不良外国人」に絞り込んでいた。田川は事件現場周辺の目撃証言を徹底的に洗い直し、犯人が逃走する際ベンツに乗車したことを掴む。ベンツに乗れるような人間が、金ほしさにチェーンの居酒屋を襲うだろうか。同時に殺害されたのは、互いに面識のない仙台在住の獣医師と東京・大久保在住の産廃業者。田川は二人の繋がりを探るうち大手ショッピングセンターの地方進出、それに伴う地元商店街の苦境など、日本の構造変化が事件に大きく関連していることに気付く。
これは、本当にフィクションなのか?  日本の病巣、日本のタブーに斬り込んだ、
衝撃のエンターテイメント大作!


初出
~第6章「STORY BOX」vol.21~vol24、vol27、第7章~:書下ろし



相場英雄(あいば・ひでお)
1967年新潟県生まれ。作家、経済ジャーナリスト、元時事通信社経済部記者
2005年『デフォルト(債務不履行)』でダイヤモンド経済小説大賞受賞
その他、『越境緯度』『双子の悪魔』『ナンバー』(6月22日発売の短篇集)



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

警察小説であるが、大手ショッピングセンタ進出による地方の疲弊、そしてショッピングセンタ自体の成長の限界、大量生産食品の危険性などを訴える社会派小説でもある。

面白く、スイスイと読めるのだが、ミステリーとしては成功していない。最初から最後まで意外な展開がなく、多くの人が想像したとおりの結末を迎える。

文章にうるおいがなく、悪い意味のルポライターの作品だ。ユーモアも無いし、風景描写も少なく、悪への憎しみも類型的で表面的だ。

『食品の裏側』という本が参考文献にあるが、この本はいささか怪しげで誇張が多い。『震える牛』にもえげつないほど添加物の危険性を言い募る記述があり、品がない。

最後のクライマックスで肥後守を掴むが、握り方が危険で不自然、いささか興ざめ。



主な登場人物

警視庁 
田川信一 捜査1課 継続捜査班 47歳、妻:里美、娘:梢
池本功治      第3強行犯係
宮田次郎 捜査1課 課長 ノンキャリアの出世頭
矢島達夫 特命室 理事官 キャリア 2年前の未解決事件の当時の担当官

被害者
西野守  産廃業者 マル暴 東京・大久保在住
赤間拓也 獣医師 仙台在住 妹:元美

オックスマート(全国展開スーパー)
柏木友久 CEO&会長 創業者 58歳、 弟 友次 文科省大臣
  信友 長男、取締役・スーパー事業本部長 38歳
滝沢文平 取締役・経営企画室長 信友の子守役

その他
筒井 日本最大のファストファッションのクロキンの役員
八田富之 ミートステーション代表取締役 政商
安倍早苗(源氏名 村上冴子) クラブのママ
鶴田真純 ビス・トゥデイの記者

コメント
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