奇跡への絆

図師ひろき

「助けに行くから」

2014年02月21日 18時47分47秒 | Weblog

 浅田真央選手が、ショートプログラムでいい結果が出なかったことに、どこかの元総理大臣が心無い言葉を浴びせかけていることに怒りを感じます。

 その人を除けば浅田選手は、間違いなく国民から愛されています。

 ショートプログラムを終えた後、過酷にもインタビューに応えなければならず

 「何故、上手く跳べなかったと思いますか?」

 というような質問に対して

 「自分でも分かりません・・・」

 茫然自失という言葉以外に表現しようないくらいに、涙を流すことすらできず表情を失った浅田選手を見て

 “大丈夫か・・・そっとしておいてあげて・・・”

 と感じた方も多いと思います・・・

 一夜明けて、浅田選手はどれ程気持ちが切り替えることができていたのでしょう・・・

 メダル獲得が困難な状況で迎えたフリーの演技の前に、佐藤コーチが声をかけられたそうです・・・

 「何かあったら、私が助けに行くから!」

 その“何かあったら”の言葉は何を意味していたのでしょう。

 私は、こう思いました・・・

 “もし冒頭のトリプルアクセルで転倒してしまったら・・・

 その後の3回転コンビネーションジャンプでも転倒してしまったら・・・

 もしそうなってしまったらもう浅田選手は、立ち上がれないかもしれない・・・

 そのままリンクの上で動けなくしまったら・・・私が助けに行くから!”

 そんな優しさが“何かあったら”に込められていたのではないでしょうか。

 浅田選手の心に一番近くで寄り添ってこられた佐藤コーチだから、金メダルの重圧と闘ってきて、もうそれが叶わないと分かっていながら冷たいリンクに滑り出さなければならない心細さに触れることができたのではないでしょうか・・・

 そして浅田選手は、がんじがらめの鎖から解き放たれたように躍動しました。 

 6種類の3回転ジャンプに8回チャレンジするほど、他の誰にも真似できない見事な演技で、私たちを幸せな気持ちにしてくれました。

 リンクから涙を流しながら帰ってきて、佐藤コーチに包まれた時、浅田選手は最高に輝いていました。

 お疲れ様でした。

 そして、感動をありがとう。