ひらりん気まま日記

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映画『ドリーム』

2017-10-14 21:32:05 | 映画

1961年、まだ歴然とした黒人差別があったアメリカ南部のバージニア州のNASAで働く3人の黒人女性のお話。
ホントについ最近まで大っぴらに黒人差別があったのだ。
波乱万丈のスペクタクルよりも実話に基づく映画は味がある。
あの宇宙先端技術の砦NASAにこんなに優秀な黒人女性が居たなんて、知らなかったし、知らされなかった?
それが原題の「隠された人たち=Hidden Figures」を表している。
「ドリーム」なんていうサクセスストーリーのような安易な邦題よりよっぽど内容に見合ってるのに、隠された人たちではお客を呼べないんだろう。
映画レビューも新聞の映画評もとてもいいのに、平日午後の観客は4人だけだった。
でも、きっとアカデミー賞のなにかは受賞すると思う。
リケジョ3人。
正職員でもなく東計算センターという黒人だけの部署で働く仲良しのメアリー、ドロシー、キャシーの3人。
夫亡きあと、幼い娘3人と母親と暮らす数学の天才的切れ者メアリーは、アメリカ初の有人宇宙飛行のための軌道計算係に抜擢される。
しかし、トイレの度に書類ファイルを持って敷地の端にある黒人専用トイレまで、タイトスカートにピンヒールで800m走ることになり、しょっちゅう空席になる。
ケビン・コスナー扮する本部長に「なぜいつもいつも休憩ばかりしている?!」と怒鳴られ、事情を淡々と話し始めて不満を言うと、本部長はでかいハンマーで白人専用トイレの表示板をぶっ壊す。
ドロシーは管理職ができる力量がありながら、黒人のためにアルバイトのまま。
軌道計算のためにNASAにIBMのコンピューターが導入されたあとは、手動計算は不要になると先を読んで、独自にプログラミングの勉強を始めて、IBM社員からお呼びがかかる。
キャシーは技術者になるために、白人のみの高校に州で初めての黒人受講生になれるよう裁判所に請願を出す。
黒人であること、女であることの差別の理不尽さに3人とも声高に訴えるわけでもなく、愛情深い家族と過ごし、淡々と日々の仕事をこなす。
叫ばないけれど、諦めない、腐らない。
粘り強くできることを少しずつ実現していく。
際立った差別主義の悪役は出てこないし、ストーリー的にそれほどドラマチックということもないのに、しみじみ人間の強さみたいなものが感じられて感動します。
私は差別はしていませんという人でも、心のどこかで「中国人、韓国人、障害者、女のくせに」というのがある。
結局、そういう目に見えない些細な澱みたいなものをなくさない限り、差別はなくならないと思う。


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