郊外のどこにでもあるような古びた住宅街(たぶん、関西地方)、路地をはさんだ10軒の家、隣は何をする人ぞ?
近隣の刑務所から女子受刑者が脱走して、この町に逃げてくる可能性が…路地の住民が動き出す。
前半は登場人物の名前を追うのに必死、冒頭の住宅地図と家族構成を何度も見直しながら読み進めた。
こういうちょっとサスペンスがかった内容は後半にトーンダウンすることも多いけど、最後はぐいぐい読めた。
一軒ずつの家族、それぞれが短編小説になりそうで、どこにでも居そうなふつうの人々とその抱えている状況が深く描かれている。
津村記久子は芥川賞作家なのね。芥川賞受賞作は辛気臭いので敬遠するが、これは面白かった。
さらっと読めるけど、印象が残らない作品よりは、少し読みにくいけど、何か残る作品がいい。
絵も「あ、上手い」「きれいに描けてる」よりは心に残るような絵を描きたい。って、めちゃ、ハードル高いわ。