『お~いっ!者ども、朝めしを終えたら行くぞ!海は凪いでいる』
テカリオンは全員の尻をたたいて、船だまりの浜へと向かった。キドニアの船だまりから、アヱネアスらのいる現在のニューキドニアの浜まで8キロメートル余りである。漕走で1時間くらいの行程距離である。心の中ではいっ時でも早くと急いていた。
彼は、親しい間柄であるパリヌルスの事を思いやった。
『奴もやったな。クレタを荒らしまわっていた海賊を一掃したとは。おかげで安全な航海ができるといったところか。重畳、重畳』
キドニアの海岸一帯を眺め見ながら、風を気持ちよく身に受けていた。
一方、朝食を終えたパリヌルスは、じい~っとはしておれなかった。彼は、他動的なそわそわに身が動いた。彼は何かにそそのかされるように浜へと駆け下りていく、浜に降り立つ、海を見渡す、波を割ってこちらに向かってくる一隻の交易船を目にした。
目を見張った、『あれは!』息をのんだ。
『テカリオンの船だ!』彼が待っていたものであった。彼は、おもわず開いた左の掌を右の拳で打った。
『これで俺の目が開く。これでチョッピリだが先の未来が見える、足元の未来ではない、また、遠くの未来でもない、チョッピリ先の未来を俺は見たいのだ』
彼は浜を見まわした。ギアスの姿は見えない。目についたのはソリタンのハシケであった。彼は浜にいる張り番の者にハシケを海に出させた。テカリオンの船が着き次第、即、行けるようにと手筈を整えた。
船上のテカリオンの姿が見えてきた。彼は手を打ち振った、テカリオンも手を振ってこたえる。二人の邂逅の喜びのひと時であった。テカリオンの船は、浜から60メートルくらい離れた海上に停船した。
パリヌルスは乗ったハシケを急がせて近づいていく、テカリオンの大声が耳に届いた。
『おう、パリヌルス、達者か?』
『おう、この通りだ。お前も元気か』
言葉を交わしている間にハシケは、テカリオンの船の船べりに接していた。顔を合わせた二人は、『おうっ!』『おうっ!』の掛け合いである。言葉は不要であった。テカリオンは船上の者たちに指示を出している。
『準備してきた品物をハシケに積み込んでくれ』
荷がハシケに積み込まれる、テカリオンがハシケに乗り移って、浜を目指した。
『おいっ、パリッ!達者にしていたか、怪我はしていないようだ。重畳、重畳』
テカリオンは、パリヌルスの五体をしげしげと眺めて安堵の表情で微笑んだ。
テカリオンは全員の尻をたたいて、船だまりの浜へと向かった。キドニアの船だまりから、アヱネアスらのいる現在のニューキドニアの浜まで8キロメートル余りである。漕走で1時間くらいの行程距離である。心の中ではいっ時でも早くと急いていた。
彼は、親しい間柄であるパリヌルスの事を思いやった。
『奴もやったな。クレタを荒らしまわっていた海賊を一掃したとは。おかげで安全な航海ができるといったところか。重畳、重畳』
キドニアの海岸一帯を眺め見ながら、風を気持ちよく身に受けていた。
一方、朝食を終えたパリヌルスは、じい~っとはしておれなかった。彼は、他動的なそわそわに身が動いた。彼は何かにそそのかされるように浜へと駆け下りていく、浜に降り立つ、海を見渡す、波を割ってこちらに向かってくる一隻の交易船を目にした。
目を見張った、『あれは!』息をのんだ。
『テカリオンの船だ!』彼が待っていたものであった。彼は、おもわず開いた左の掌を右の拳で打った。
『これで俺の目が開く。これでチョッピリだが先の未来が見える、足元の未来ではない、また、遠くの未来でもない、チョッピリ先の未来を俺は見たいのだ』
彼は浜を見まわした。ギアスの姿は見えない。目についたのはソリタンのハシケであった。彼は浜にいる張り番の者にハシケを海に出させた。テカリオンの船が着き次第、即、行けるようにと手筈を整えた。
船上のテカリオンの姿が見えてきた。彼は手を打ち振った、テカリオンも手を振ってこたえる。二人の邂逅の喜びのひと時であった。テカリオンの船は、浜から60メートルくらい離れた海上に停船した。
パリヌルスは乗ったハシケを急がせて近づいていく、テカリオンの大声が耳に届いた。
『おう、パリヌルス、達者か?』
『おう、この通りだ。お前も元気か』
言葉を交わしている間にハシケは、テカリオンの船の船べりに接していた。顔を合わせた二人は、『おうっ!』『おうっ!』の掛け合いである。言葉は不要であった。テカリオンは船上の者たちに指示を出している。
『準備してきた品物をハシケに積み込んでくれ』
荷がハシケに積み込まれる、テカリオンがハシケに乗り移って、浜を目指した。
『おいっ、パリッ!達者にしていたか、怪我はしていないようだ。重畳、重畳』
テカリオンは、パリヌルスの五体をしげしげと眺めて安堵の表情で微笑んだ。